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特長
種類名 ピフルブミド水和剤
有効成分 ピフルブミド・・・20.0%
性状 類白色水和性粘稠懸濁液
毒性 普通物
安全性 製品安全データシート日本農薬(株)へのリンク)
有効年限 3年
包装 250mlx20
作用機構分類 IRAC 25B[ピフルブミド]
 ピフルブミドは、2005年に日本農薬株式会社総合研究所で初めて合成されたカルボキサニリド構造を有する新しい骨格の化合物で、ダニ目害虫に高い活性を示します。
 2008年よりピフルブミド単剤はNNI-0711のコード番号で、一般社団法人日本植物防疫協会を通じて新農薬実用化試験を開始しました。その結果、「ダニコングフロアブル(NNI-0711)」は果樹、茶のハダニに優れた効果を示し、新規殺ダニ剤として実用性が確認されました。
 「ダニコングフロアブル」は、Tetranychus,Panonychus 両属のハダニの成虫および幼・若虫に高い殺ダニ活性を有し、効果持続性に優れ、高い防除効果を示すことから、作物の安定生産に貢献するものと考えています。また、新規作用性を有し、既存殺ダニ剤に対して抵抗性の発達した個体群に対しても高い効果を示すことから、薬剤抵抗性管理における薬剤散布ローテーションの基幹剤としても有用と考えます。
さらに、農業害虫における選択性も高く、多くの天敵・有用昆虫に対する影響が少ないことから、IPM(総合的病害虫管理)資材として有効に活用できます。
ミカンハダニ
リンゴハダニ
ナミハダニ
カンザワハダニ
  • Tetranychus,Panonychus 両属のハダニに対し高い活性を示します。
  • 成虫および幼・若虫に高い殺ダニ活性を有します。
  • 新規作用性を有し、既存殺ダニ剤抵抗性個体群に対しても有効です。
  • 残効性に優れ、安定した防除効果が長期間持続します。
  • 天敵・有用昆虫を含む非標的昆虫・クモ類に対する安全性が高く、訪花昆虫や天敵等の生物資材との併用も可能です(IPMに適合)。
  • 哺乳動物、水産動植物に対し高い安全性を有しています。

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(製造・販売元 日本農薬(株)へのリンク)

適用及び使用方法
作物名 適用病害虫 希釈倍数 使用方法 使用時期 本剤の使用回数 散布液量 ピフルブミドを含む農薬の総使用回数
すいか ハダニ類 3000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
メロン ハダニ類 3000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
なす ハダニ類 3000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
ピーマン ハダニ類 3000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
しそ ハダニ類 2000倍 散布 収穫3日前まで 1回 100〜300L/10a 1回
アスパラガス ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 2回以内 100〜700L/10a 2回以内
しそ(花穂) ハダニ類 2000倍 散布 収穫3日前まで 1回 100〜300L/10a 1回
いちご ハダニ類 3000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
みょうが(花穂) ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 100〜300L/10a 1回
みょうが(茎葉) ハダニ類 2000倍 散布 みょうが(花穂)の収穫前日まで 但し、花穂を収穫しない場合にあっては開花期終了まで 1回 100〜300L/10a 1回
かんきつ ミカンハダニ 2000〜4000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
ミカンハダニ 48倍 無人航空機による散布 収穫前日まで 1回 16L/10a 1回
ミカンハダニ 30倍 無人航空機による散布 収穫前日まで 1回 10L/10a 1回
ミカンハダニ 24倍 無人航空機による散布 収穫前日まで 1回 8L/10a 1回
なし ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
りんご ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
おうとう ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
もも ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
ネクタリン ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
小粒核果類 ナミハダニ 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
ぶどう ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
ブドウヒメハダニ 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
いちじく ハダニ類 2000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
かき ハダニ類 2000〜4000倍 散布 収穫前日まで 1回 200〜700L/10a 1回
花き類・観葉植物 ハダニ類 2000倍 散布 発生初期 1回 100〜300L/10a 1回
カンザワハダニ 2000〜4000倍 散布 摘採7日前まで 1回 200〜400L/10a 1回

混用事例日本農薬(株)へのリンク)
ダニコングフロアブルのちらし (日本農薬(株)へのリンク)
ダニコングフロアブルの技術資料 (日本農薬(株)へのリンク)
ダニコング特設サイト (日本農薬(株)へのリンク)

動画で見る「ダニコングフロアブル」
効果発現速度と作用病状(社内試験)
  • ナミハダニ雌成虫に対する効果発現速度
    処理後8時間程度で効果が発現し始めます。
    試供ハダニ ナミハダニ(日農感受性系統)雌成虫
    試供作物 いんげん(リーフディスク)
    試験方法 所定濃度の薬液をスプレーガンで50ml/m² 散布し、風乾後ハダニを接種した。その後、経時的に正常、異常、死亡虫数を調査した。
  • 作用病状(30時間後)
    異常興奮、麻痺などの病状を示さず、既存剤と異なり、異常・死亡個体の体色も変化しません。
作用経路、耐雨性、温度別活性(社内試験)
  • 作用経路(経口・経皮活動)
    ミカンハダニ雌成虫(処理2日後調査)
    LC90値(ppm)
    経口* 経皮**
    ≒3 30〜100
    *パラフィルム法
    薬液滴下したろ紙を薄く伸ばしたパラフィルムで覆い、ハダニを接種、24時間後にハダニをカンキツのリーフディスクに移した。
    **シャーレ接触法
    シャーレ内壁に薬液散布し、ハダニを接種、5時間後にハダニをカンキツのリーフディスクに移した。
    経口・経皮ともに活性を示しますが、経口活性の方が強いと考えられます。
  • 耐雨性(室内カップ法、人工降雨試験)
    ミカンハダニ雌成虫
    降雨量:10mm/hx1時間
    薬剤散布1日後人工降雨、風乾後ハダニ接種、接種2日後成虫調査、接種9日後次世代幼虫調査
    散布液が乾いてからの降雨であれば十分効果を発揮します。
  • 温度別活性差(室内カップ法)
    ナミハダニ雌成虫(処理2日後調査、15℃のみ5日後調査)
    LC50値(ppm)
    15℃ 20℃ 25℃ 30℃
    ダニコングフロアブル 0.55 0.70 0.31 0.29
    A剤 1.0 0.84 0.49 0.53
    C剤 0.77 1.5 0.50 0.52
    D剤 1.3 2.3 1.1 0.97
    温度による効果差は小さいと考えられます。低温時には効果発現までに時間がかかる場合があります。
  • 浸透性弱い
  • ガス効果なし
圃場における効果持続性(処理葉切取接種試験)(社内試験)
りんご
大阪、5月28日処理、ナミハダニ(大阪系統)接種

試験方法 所定濃度の薬液を4L/樹背負い式動力噴霧器で散布し、所定日に処理葉を切取り、リーフディスクを作成し、雌成虫を接種した。
接種10日後に次世代幼虫生存虫数を調査した。

かんきつ
大阪、7月8日処理、ミカンハダニ(徳島系統)接種

試験方法 所定濃度の薬液を5L/樹背負い式動力噴霧器で散布し、所定日に処理葉を切取り、リーフディスクを作成し、雌成虫を接種した。
接種12日後に次世代幼虫生存虫数を調査した。
りんごのナミハダニ、かんきつのミカンハダニのいずれにも、長期の効果持続性が認められます。
天敵・有用昆虫に対する影響(社内試験)
対象種 供試ステージ 方法 調査日 LC30(ppm)
カイコガ 4齢幼虫 餌浸漬 5日後 >100
セイヨウミツバチ 成虫(内勤) 虫体・餌散布 5日後 >200
マメコバチ 成虫 虫体・餌散布 5日後 >100
チリカブリダニ 虫体・餌散布 4日後 >200
ミヤコカブリダニ 成虫 虫体・餌散布 3日後 >100
幼虫 餌散布 3日後 >100
スワルスキーカブリダニ 成虫 虫体・餌散布 4日後 >200
虫体・餌散布 4日後 >200
ヒメハダニカブリケシハネカクシ 成虫 虫体・餌散布 3日後 >100
ナミテントウ 成虫 虫体・餌散布 5日後 >100
幼虫 虫体・餌散布 5日後 >100
ショクガタマバエ 幼虫 虫体・餌散布 2日後 >100
アオムシコマユバチ 虫体浸漬 6日後 >200
オンシツツヤコバチ 虫体浸漬 10日後 >200
タイリクヒメハナカメムシ 成虫 餌散布 4日後 >100
キクヅキコモリグモ 幼生 作物散布 2日後 >200
ステージ別殺ダニ活性(社内試験)
対象種 LC50(ppm)
雌成虫
(2日後)

(7日後)
幼虫
(5〜6日後)
第1停止期
(5日後)
第1幼虫
(5日後)
ナミハダニ(日農感受性系統) 1.04 33.9 0.44 0.36 0.32
ミカンハダニ(日農感受性系統) 1.02 11.4 0.63 1.32 0.72

ハダニの全ステージに活性があります。
使用上の注意事項
効果・薬害などの注意
  • 石灰硫黄合剤、ボルドー液などアルカリ性薬剤との混用を避けてください。
  • 本剤は植物体への浸透移行性がないので、かけ残しのないように葉の裏表に十分に散布してください。
  • ハダニ類は繁殖が早く、密度が高くなると防除が困難になるので、発生初期に散布むらのないようにていねいに散布してください。
  • ハダニ類は薬剤抵抗性が発達しやすいので、年1回の散布とし、作用性の異なる他の薬剤と輪番で使用してください。
  • 散布量は対象作物の生育段階、栽培形態及び散布方法に合わせ、調節してください。
  • 無人航空機による散布を行う場合には、次の注意事項を遵守してください。
    1. 散布機種の散布基準に従って行うこと。
    2. 散布機種に適合した散布装置を使用すること。
    3. 散布中に薬液の漏れがないように、事前に機体の散布配管その他散布装置の十分な点検を行うこと。
    4. 散布薬液の飛散によって自動車の塗装やカラートタンの塗装等へ影響を与えないよう、散布地域の選定に注意し、散布区域内の諸物件に十分留意すること。
    5. 散布終了後、機体の散布装置は十分洗浄し、薬液タンクの洗浄廃液は安全な場所に処理すること。また使用後の空の容器は放置せず、安全な場所に廃棄すること。
  • 本剤の使用に当たっては、使用量、使用時期、使用方法を誤らないように注意し、特に初めて使用する場合には病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましいです。
  • 適用作物群に属する作物又はその新品種に本剤をはじめて使用する場合は、使用者の責任において事前に薬害の有無を十分確認してから使用してください。なお、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましいです。
安全使用・保管上の注意
  • 散布の際は農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用してください。作業後は手足、顔などを石けんでよく洗い、洗眼・うがいをしてください。
  • 使用残りの薬液が生じないように調製を行い、使い切る。散布器具及び容器の洗浄水は、河川等に流さないでください。また、空容器、空袋等は水産動植物に影響を与えないよう適切に処理してください。
製造・販売:日本農薬(株)