農薬情報>殺虫剤>BT剤


特長
種類名 BT水和剤
有効成分 バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素・・・10.0%
性状 褐色水和性細粒及び微粒
毒性 普通物
安全性 製品安全データシート住友化学(株)へのリンク)
有効年限 5年
包装 500gx20袋
作用機構分類 IRAC 11A[BT(生菌)]
フローバックDFは自然界に広く存在している芽胞細菌のバチルス・チューリンゲンシス(略称BT菌)の亜種アイザワイ系統(Bacillus thuringiensis aizawai)の殺虫力を利用した、いわゆる「BT剤」の一種であり、人畜、魚介類、鳥類に対する毒性が低い農薬です。
近年鱗翅目害虫の中には、コナガを始めとして各種の有機合成農薬に対して顕著な抵抗性を示す難防除害虫に対してもBT剤は安定した効果を発揮することから、実際の防除場面において欠かすことのできない基幹剤として広く使用されています。また、BT剤は「有機」農産物の生産に使用できる薬剤であるため、その点が高く評価され、幅広く作物での使用が積極的に検討されつつあります。
このような状況に対応すべく、優れた菌株の選抜とBT製剤技術の改良を続けた結果実用化されたのが新規アイザワイ系BT生菌剤フローバックDFです。本剤が既存のBT剤にない特長を生かし、BT剤の適用可能性をさらに拡大することを期待しております。
アイザワイ系の優れたBT菌株を、遺伝子操作や死菌化等の処理を行わずに利用したBT生菌剤です。生菌剤の特性を大いに生かし、下記の特長を備えた高性能BT剤となっています。
  • 高活性で速効的。
    タンパクの殺虫効果を増強するとともに、死菌剤に比べより速効的な効果を実現します。
  • ヨトウムシ類を中心とした鱗翅目害虫に幅広く有効。
    ヨトウムシ類に高い活性を示すCry[Cをはじめとする複数の殺虫性タンパクを含むため、ヨトウムシ類だけでなく、他の鱗翅目害虫もまとめて防除することができます。
  • 抵抗性コナガに安定した効果。
    各種薬剤に抵抗性を発達させるコナガの抵抗性対策では、抵抗性が発達しにくくかつ感受性の回復も速いBT生菌剤が重要な役割を果たします。クルスターキ系統と抵抗性が交差しないアイザワイ系統を使用することにより、BT剤の連用が可能となり理想的な防除体系が構築できます。
  • ドライフロアブル製剤で使いやすい。
    ドライフロアブル製剤を採用することにより、製剤過程での殺虫性タンパクの変質を最小限にとどめるとともに、粉立ちが少なく軽量しやすいという使いやすさを同時に実現しています。
  • 選択性の高い生物農薬であり、有機農産物の生産に使用可能。
    人畜、魚介類、鳥類に対する毒性が低く、天敵、花粉媒介昆虫に対する影響もほとんどありません。
  • JAS法に基づく「有機」農産物の生産に使用できる天然型農薬に指定されています。

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(製造元 住友化学(株)へのリンク)

適用及び使用方法
作物名 適用病害虫 希釈倍数 使用方法 使用時期 散布液量
雑穀類(そばを除く) アワノメイガ 2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
そば ヨトウムシ 2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ハスモンヨトウ 2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
野菜類 コナガ 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
オオタバコガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ヨトウムシ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ハスモンヨトウ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
シロイチモジヨトウ 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
アオムシ 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
だいこん ハイマダラノメイガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
にんにく ネギコガ 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ブロッコリー ハイマダラノメイガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
チンゲンサイ ハイマダラノメイガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
キャベツ ウワバ類 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ネギアザミウマ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ハイマダラノメイガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
はくさい ウワバ類 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
ハイマダラノメイガ 1000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a
果樹類(りんごを除く) ケムシ類 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 200〜700L/10a
りんご リンゴコカクモンハマキ 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 200〜700L/10a
ケムシ類 1000〜2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 200〜700L/10a
花き類・観葉植物 オオタバコガ 1000倍 散布 発生初期 100〜300L/10a
飼料用とうもろこし アワノメイガ 2000倍 散布 発生初期(但し、収穫前日まで) 100〜300L/10a

混用事例
フローバックDFのちらし (住友化学(株)へのリンク)

作用特性
殺虫性タンパクの種類と殺虫スペクトラム
交差抵抗性
速効性
残効性
齢期別活性
耐雨性
試験成績
天敵・花粉媒介昆虫に対する影響
適用作物および周辺作物に対する安全性
圃場評価試験
はくさい/コナガ
(1998北海道立道南農業試験場)
  • 試験場所:北海道亀田郡大野町
  • 対象害虫:コナガ多発生(合成ピレスロイド・IGR抵抗性個体群)
  • 対象作物:はくさい(玉杯)
  • 区制・反復:28株/区、3反復
  • 処理方法:120L/10aを肩掛式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年8月21日

キャベツ/アオムシ
(1998日植防宮崎試験場)
  • 試験場所:宮崎県宮崎郡佐土原町
  • 対象害虫:アオムシ、虫→多発生
  • 対象作物:キャベツ(秋徳)
  • 区制・反復:24株/区、3反復
  • 処理方法:253L/10aを背負式全自動噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年5月26日

なす/ハスモンヨトウ
(1998日植防高知試験場)
  • 試験場所:高知県香美郡野市町
  • 対象害虫:ハスモンヨトウ、多発生(処理時は中齢幼虫主体)
  • 対象作物:なす(竜馬)
  • 区制・反復:5株/区、2反復
  • 処理方法:250L/10aを肩掛式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年7月7日

キャベツ/ヨトウムシ
(1998福井県農業試験場)
  • 試験場所:福井県福井市寮町
  • 対象害虫:ヨトウムシ、少発生
  • 対象作物:はくさい(玉杯)
  • 区制・反復:50株/区、3反復
  • 処理方法:150L/10aを肩掛式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年9月7日

ねぎ/シロイチモジヨトウ
(1999鹿児島県農業試験場)
  • 試験場所:鹿児島市上福元町
  • 対象害虫:シロイチモジヨトウ、中発生(卵塊接種)
  • 対象作物:ねぎ(九条細)
  • 区制・反復:11.2m²(4.0x2.8m)、2反復
  • 処理方法:150L/10aを背負式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1999年11月5日

トマト/オオタバコガ
薬剤名 希釈
倍数
調査
果数
被害
果数
寄生
幼虫数
被害
果率(%)
フローバックDF x1000 79 1 0 1.3
マクロライド系剤Q x2000 43 0 0 0.0
無処理
127 31 14 24.4
(1998長崎県総合農林試験場)
  • 試験場所:長崎県諫早市貝律町
  • 対象害虫:オオタバコガ、多発生(処理8日前に成虫を放虫)
  • 対象作物:トマト(ハウス桃太郎)
  • 区制・反復:1株/区、9〜10反復
  • 処理方法:300L/10aを肩掛式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年10月28日

キャベツ/タマナギンウワバ
(試験実施:住友化学)
  • 試験場所:兵庫県河西市
  • 対象害虫:タマナギンウワバ、中発生
  • 対象作物:キャベツ(グリーンボール)
  • 区制・反復:8株/区、3反復
  • 処理方法:300L/10aを肩掛式動力噴霧器にて散布(展着剤加用)
  • 処理日:1998年6月26日
ハスモンヨトウの被害状況比較
フローバックDF 無処理
使用上の注意事項
効果・薬害などの注意
  • 散布液調製後はそのまま放置せず、できるだけ速やかに散布する。
  • 使用に当たっては展着剤を加用することが望ましい。
  • アルカリ性の強い石灰硫黄合剤、ボルドー液などの農薬およびアルカリ性の強い葉面施用の肥料などとの混用はさける。
  • 本剤は若令幼虫に有効なので、若令幼虫期に時期を失せず散布する。
  • 本剤は吸湿すると固化したり、効果が低下したりすることがあるので、貯蔵に当たっては湿気に注意し、特に使用残りの薬剤は密封して乾燥した冷暗所に貯蔵する。
  • 空中散布には使用しない。
  • 適用作物群に属する作物又はその新品種に本剤をはじめて使用する場合は、使用者の責任において事前に薬害の有無を十分確認してから使用する。なお、普及指導センター、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましい。
安全使用・保管上の注意
  • 蚕に対する毒性があるので、養蚕主産県その他主要養蚕地帯及び養蚕農家、共同飼育場などの周辺では施用しない。また、これら以外の場所でも付近に桑園がある場合は、飛散してかからないよう風向等に十分注意して散布する。なお、本剤の使用に当たっては、散布地域の使用規制に従う。特に初めて使用する場合は病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましい。
  • ミツバチに対して影響があるので、ミツバチの巣箱及びその周辺にかからないようにする。
  • 眼に入らないよう注意する。
    眼に入った場合には直ちに水洗し、眼科医の手当てを受ける。(刺激性)
  • 皮ふに付着しないよう注意する。
    付着した場合には直ちに石けんでよく洗い落とす。(刺激性)
  • 散布液調製時及び散布の際は保護眼鏡、農薬用マスク、手袋、長ズボン・長袖の作業衣などを着用する。
    作業後は直ちに手足、顔などを石けんでよく洗い、洗眼・うがいをするとともに衣服を交換する。
  • 作業時に着用していた衣服等は他のものとは分けて洗濯する。
  • かぶれやすい体質の人は取扱いに十分注意する。
  • 直射日光をさけ、なるべく低温で乾燥した場所に密封して保管する。
製造:住友化学(株)