栽培の手引き植物総合管理>作物別環境保全型農業栽培の手引き

だいこん

来暦
原産地である地中海沿岸から中国に紀元前4世紀ごろに渡来したと言われています。その後日本へは、1250年ごろ中国から渡来し、「オホネ」と呼ばれていました。これをだいこんと言うようになったのは室町時代からです。その後江戸時代に急速に品種数が増え、1682年には10品種、100年後には20数品種と現在の基本品種がほぼ出揃っています。
だいこんおろし・切り干しだいこん・だいこん葉は医者いらず、薬いらずの特効薬!
大根おろしに含まれる消化酸素のカタラーゼ、パーオキシターゼ、プロデアーゼ(タンパク質分解酵素)は焼き魚の発ガン物質(トリプトファン)を分解する抗ガン作用があります。リパーゼ、グリコシターゼ(脂肪分解酵素)、ジャスターゼ(でんぷん消化酸素)はそれぞれ肉類やごはん類の消化をよくし、胃の消化を助けます。辛味の成分、ミロシナーゼは摩り下ろすことによって辛味がでます。また、食欲増進効果があります。
大根おろし はおろしたてを食べましょう。おろしたての大根おろしはビタミンCが100g中15mg(1日必要量は50mg)も含まれています。しかし2時間もすると50%も少なくなり、辛味成分のミロシナーゼもなくなります。
切り干し大根は太陽エネルギーを受けて高栄養野菜に大変身します。例えば、ビタミンB1、B2はそれぞれ10倍、カルシウム16倍、鉄分30倍、その他カリウム、繊維分、ガン予防に効果のあるリグニンも多量に増えますので、煮物などに大いに利用したいものです。
大根葉には100g当たり2600ug(2.6mg)のカロチンが含まれています。これはほうれん草、小松菜に匹敵する緑黄色野菜です。その他ビタミンB2、C、カルシウム、鉄、カリウムもたっぷりです。炒めたり、かき揚げにするとカロチンが油に溶けて有効に吸収されます。
カロチンは発ガン物質の働きを抑えたり、体の皮膚や粘膜を丈夫にする働きがあり、風邪の予防に効果があります。また、乾燥させて入浴剤として利用すれば、冷え性に効果があります。カルシウムも野菜の中ではトップクラスです。肉や魚のタンパク質を組み合わせて食べることにより、骨や歯を丈夫にし、体の働きを順調にします。不足すると今問題の骨粗しょう症や出血が止まりにくくなったり、イライラの原因になります。
葉大根の栄養成分(可食部100g当たり)
ビタミンA(カロチン) :2600ug
ビタミンA(A効力) :1400IU
ビタミンC :70mg
鉄分 :2.5mg
タンパク質 :2.0g
炭水化物(糖質) :3.0g
無機質(カルシウム) :210mg
無機質(リン) :42mg
無機質(ナトリウム) :39mg
だいこんの花芽分化
大根の花芽分化は低温(0℃〜13℃)と、日長(長日)により促進される。特に宮重系、みの早生系は長日の影響が強いので、春まき、冷涼地の栽培では品種選定に注意する。
栽培のワンポイント
圃場の老朽化を防ぐには?
圃場の老朽化を防ぐのに一番よい方法は、輪作体系をとることです。だいこん以外の品目を栽培するだけでなく、緑肥を栽培することでも輪作体系をとることができます。緑肥を栽培することは、土壌改善やセンチュウを抑制することにも有効ですので、ぜひ積極的に取り入れてください。
だいこんに適した圃場づくり
だいこん栽培に適した圃場とは、だいこん以外のすべての品目にも共通しますが、保水・排水・通気性に優れていることが重要です。そのような圃場を作るためには、播種する1〜2ヶ月前に十分に腐塾した堆肥などの有機質を土とよく混ぜておくことです。圃場の状態にもよりますが、毎年続けて、1年に1〜2回投入するとより効果的です。
また、堆肥や元肥投入時、整地時の耕うんですが、できるだけ圃場水分が適湿な時に行ってください。機械の能力に頼って水分の多い条件で耕うんすると、通気性を失ったり、排水が悪くなったり、土の塊が大きくなって、発芽不良や又根などの発生につながります。
施肥量の決定は?
施肥量については、播種時期や前作との重ね合い、圃場の肥沃度、播種前に堆肥を入れたかどうか、これから作る品種が肥料に対して敏感か鈍感か、などを考慮して決定してください。そして、すべての栽培で残肥が出ないような肥料設計を立てます。また、連作によってかなり肥沃化が進んでいる場所が多いので、数年間は今までの肥料設計よりかなり減らして栽培したり、有機質肥料中心の肥料設計に変更して根の活力を守ったり、全体のチッソ施肥量を少なくしたりして「良品多収」を目指してください。
追肥のポイントは?
施肥は元肥主体が基本です。元肥のみでの栽培も可能ですが、生育状況にあわせて追肥を実施してください。追肥の時期としては、間引きの後、本葉5〜6枚前後が適しています。この時期は、根の生育が細胞数の増加から肥大へと移行する時期ですので、中耕とあわせて行い、順調な即効を促し、根の生育がスムーズに進むようにします。地上部の生育や葉の色に気をつけて、追肥のタイミングが図れるようにチャレンジしてみてください。
砂地などの肥料の流亡が激しい土壌や場所では、追肥時期が遅れないようにすることが大切です。追肥のタイミングを間違うと、肥大が遅れたり、裂根の発生につながる恐れがありますので、十分に留意してください。
葉の生育が旺盛で、根が曲がったり、生育が悪くなるのはなぜ?
原因としては、多肥栽培による場合と、作型と播種した品種の特性があっていない時に起こります。例えば、耐寒性があって葉の生育が旺盛な冬どりの品種を夏や秋の早まきで栽培すると、必要以上に葉が旺盛になり、根部の曲がりが発生したり肥大が悪くなったりします。肥料が多いとさらにその傾向は助長されます。また、元肥が多すぎたり、追肥が効きすぎた場合は、その作型に適した品種であっても葉が旺盛になりやすくなります。品種にあわせて播種時期や施肥量を決定することが大切です。
空洞症はどういう条件で起こる?
根の生育が伸長から肥大へ移行する時に根の中心部にすき間ができますが、空洞症はその後の生育不具合によって、そのすき間に細胞が十分に充填できなかった場合に発生します。時期としては、間引き以降の時期に栽培条件が急激に変化した場合が危険です。要因としては、この時期に急激な肥効や高温によって生育が過剰に進んだり、低温や温湿により生育が著しく停滞した場合に発生しやすくなります。
横しま症はどういう条件で発生するの?
過湿条件でよく見受けられますが、乾燥条件でも発生します。品種による差がありますが、一番大事なことは、やはり保水・排水に優れる圃場で栽培することです。
センチュウ被害を減らすには?
だいこんで発生が多いキタネグサレセンチュウに対しては、前作にセンチュウ対抗作物を栽培して抑制することが有効です。対抗作物としてはマリーゴールド、えん麦の「ネグサレタイジ」などが有効で、これらの対抗作物を栽培することによって、センチュウ密度を低下させることができます。