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こまつな/春〜秋まき栽培(神奈川県の例)

【資料提供:平成16年3月、神奈川県環境農政部農業振興課】
1. 栽培品種
品種名 特性一覧 備考
早晩性 抽台 葉色 草姿 耐寒性 耐暑性 葉型 萎黄病
楽天 丸葉 そろいがよい。
さおり 中早 丸葉 茎葉が折れにくい。3〜9月まきに適す。
浜美2号 やや立 丸葉 高温期でも伸びすぎない。
夏楽天 丸葉 葉柄太く、そろいがよい。9〜3月まきに適す。
笑天 丸葉 高温期の栽培に最適。生育はじっくりしている。
あゆみ 丸葉 茎葉折れにくい。3〜9月まきに適す。
ひとみ 中早 ごく濃 丸葉 初期生育が遅く、生育はじっくりしている。
なっちゃん 中早 ごく濃 丸葉 耐暑性が強く、葉色が濃い。
2. 栽培暦と施肥、病害虫防除時期(春〜秋まき栽培、栽培様式 15〜20cm条播)
凡例 ◎:重点防除(省略できない)、○:通常防除(通常は実施。発生状況により省略可能)、
△:必要に応じて防除、←→:発生時期
3. 施肥の環境保全型農業への移行例化学肥料21%減) N 57.4→45.5kg
施肥期 慣行施肥
資材名
施用量
(kg)
成分量(kg)
環境保全型
代替資材名
施用量
(kg)
成分量(kg) 備考
N P2O5 K2O CaO MgO N P2O5 K2O CaO MgO
元肥
(3月まき)
牛ふん堆肥 1500 3.3 13.1 19.7 31.5 9.8 牛ふん堆肥 2000 4.4 17.4 26.2 42.0 13.0 減肥期は、3月まき1回、春夏まき2回、秋まき1回として計算
複合燐加安14号 85 11.2 8.5 11.1

乾燥鶏ふん 40 0.8 0.6 0.9 3.2 0.5
顆粒タイニー 100


34.0 17.0 なたね油かす 50 2.0 1.1 0.7 0.5 0.5

複合燐加安14号 50 7.5 5.0 6.5

硫酸マグネシウム 60



15.0
合計

14.5 21.6 30.8 65.5 26.8

14.7 24.1 34.3 50.2 14.0
元肥(春夏まき) 複合燐加安14号 105 14.7 10.5 13.6

乾燥鶏ふん 35 0.7 0.5 0.8 2.8 0.4

なたね油かす 50 2.0 1.1 0.7 0.5 0.5
複合燐加安14号 80 12.0 8.0 10.4

合計

14.7 10.5 13.6



14.7 9.4 11.9 3.3 0.9
元肥(秋まき) 複合燐加安14号 120 16.8 12.0 15.6

乾燥鶏ふん 35 0.7 0.5 0.8 2.8 0.4

なたね油かす 50 2.0 1.1 0.7 0.5 0.5
複合燐加安14号 100 14.0 10.0 13.0

合計

16.8 12.0 15.6



16.7 11.6 14.5 3.3 0.9
4. 防除の環境保全型農業への移行例化学合成農薬80減) 5→1成分・回
時期 主な対象病害虫 慣行防除の
使用薬剤と濃度
環境保全型代替技術 備考
は種
種子消毒 種子消毒
本ぽ
アブラムシ、コナガ、アオムシ、キスジノミハムシ 被覆資材を用いる。 被覆資材を用いる。
白さび病

畝を高くする。
極端な厚まきはしない。

アブラムシ アグロスリン乳剤 2000倍
発生を認めたら、農薬をまく。
コナガ、アオムシ アファーム乳剤 2000倍
トアロー水和剤CT 1000倍


白さび病 サンドファン水和剤 1000倍

5. 雑草対策
作業内容 効果 作業内容 備考
手取り

耕耘・鍬込み 前作の収穫後にプラウ耕による鋤込み
凡例 ◎:効果が高い、○:比較的効果が高い、△:効果あるが不十分、X:効果なし
6. 経営的評価(10a当たりの物財費と投下労働時間の比較)(同一圃場に年4回作付けとして計算)
項目 慣行技術 改善議技術 備考
資材名 数量 金額(円) 資材名 数量 金額(円)
肥料費 牛ふん堆肥 1.5t 14,400 牛ふん堆肥 2.0t 192,00
複合燐加安14号 415kg 29,880 乾燥鶏ふん 145kg 3,770
顆粒タイニー 100kg 2,500 なたね油粕 200kg 8,500

複合燐加安14号 310kg 22,320
硫酸マグネシウム 60kg 4,260
小計 46,780 小計 58,050
農薬費 アグロスリン乳剤 200ml 1,816 べたがけ被服材 400m 24,448 被服材(サンサンネット)270幅・耐用5回
径8.5mm長210cm・耐用5回
被覆材(サンサンネット)270幅・耐用5回
トアロー水和剤CT 400g 3,592 トンネル用支柱 1,200本 30,000
アファーム乳剤 200ml 4,408 トンネル被服材 600m 24,448
サンドファンC水和剤 400g 1,960


小計 11,776 小計 78,896
労働時間 作業名 回数 投下労働時間 作業名 回数 投下労働時間
堆肥散布 1回 2時間 堆肥散布 1回 2時間
化成散布 4回 4 有機質肥料散布 8回 16
動噴 8回 8 化成散布 4回 4
手取り除草 4回 16 べたがけ設置 2回 32
耕耘 4回 12 トンネル設置 2回 46

手取り除草 4回 16
耕耘 4回 12
小計 42時間 小計 128時間

物財費合計(全経営) 物財費合計(全経営)
投下労働時間合計(全経営) 時間 投下労働時間合計(全経営) 時間
7. 環境保全型農業技術のまとめ(ポイントとなる技術)
  1. 病害虫防除関係
    1. 耕種的防除
      • 萎黄病抵抗性・白さび病抵抗性品種を用いる。
      • 白さび病発生ほ場では、高畝栽培がよい。
      • 厚まき栽培をさける。
      • 耕耘・鍬込みにより雑草を防除する。
    2. 物理的防除
      • 被覆資材を用いる。
  2. 土壌肥料関係
    • 複合燐加安14号の一部を乾燥鶏ふんとなたね油かすに代替えする。