栽培の手引き／植物総合管理＞作物別環境保全型農業栽培の手引き＞きゅうり

	【資料提供：平成16年3月、神奈川県環境農政部農業振興課】
1．	栽培品種
	品種名 特性一覧 備考 草勢 果長 果色 光沢 耐寒性 耐暑性 側枝長 穂木 グリーンラックス 中 21cm 濃緑 極良 中 中 中〜短 果形良くブルーム少ない。 はるか 強 21cm 濃緑 良 中 中 中〜短 果形良くブルーム少ない。 フリーダム 中 21cm 濃緑 極良 強 中強 中 イボなし、うどんこ病抵抗性 バイグリーン21 中強 21cm 濃緑 極良 中 中強 中〜短 果形良くブルーム少ない。 台木 ときわパワーZ2 つる割病抵抗性、ブルームレス、うどんこ病抵抗性。 ひかりパワーゴールド つる割病抵抗性、ブルームレス。 ゆうゆう一輝（黒） つる割病抵抗性、低温伸長性。 黒ダネ つる割病抵抗性、低温伸長性大、ブルームきゅうり用
2.	栽培暦と施肥、病害虫防除時期（半促成栽培、栽培様式 160cmx45cm、1389株／10a）
	凡例 ◎：重点防除（省略できない）、○：通常防除（通常は実施。発生状況により省略可能）、 △：必要に応じて防除、←→：発生時期
3.	施肥の環境保全型農業への移行例（化学肥料 Nとして0％減）　N22.6→22.6kg
	施肥期 慣行施肥 資材名 施用量 （kg） 成分量（kg） 環境保全型 代替資材名 施用量 （kg） 成分量（kg） 備考 N P2O5 K2O CaO MgO N P2O5 K2O CaO MgO 育苗期 過リン酸石灰 5 0.9 過リン酸石灰 5 0.9 CDU複合燐加安S555 5 0.8 0.8 0.8 CDU複合燐加安S555 5 0.8 0.8 0.8 小計 0.8 1.7 0.8 0.8 1.7 0.8 元肥 牛ふん堆肥 1,000 2.2 8.7 13.1 21.0 0.7 牛ふん堆肥 1,000 2.2 8.7 13.1 21.0 0.7 苦土石灰 60 21.0 6.0 苦土入りセルカ2号 40 16.8 2.8 ハウス配合有機60 180 12.6 12.6 10.8 ハウス配合有機60 180 12.6 12.6 10.8 小計 14.8 21.3 23.9 42.0 6.7 14.8 21.3 23.9 37.8 3.5 追肥 尿素入複合液肥2号（N1kgｘ15回） 150 15.0 6.0 12.0 尿素入複合液肥2号（N1kgx15回） 150 15.0 6.0 12.0 かん水時の同時施肥 合計 30.6 29.0 36.7 42.0 6.7 30.6 29.0 36.7 37.8 3.5
4.	防除の環境保全型農業への移行例（農薬15％減）　39→33成分・回
	時期 主な対象病害虫 慣行防除の使用薬剤と濃度 環境保全型代替技術 備考 育苗 種子消毒 苗立枯病 次亜塩素酸ナトリウム 次亜塩素酸ナトリウム 購入種子（種子消毒済み） 育苗期間 ネコブセンチュウ、苗立枯病、べと病、斑点細菌病 バスアミド微粒剤 300g/m²（床土消毒） ビスダイセン水和剤 800倍 バスアミド微粒剤 300g/m²（床土消毒） ビスダイセン水和剤 800倍 外部からの病害虫の持ち込みに注意する。
	時期 主な対象病害虫 慣行防除の 使用薬剤と濃度 環境保全型代替技術 備考 本畑 耕転前（12月） ネコブセンチュウ ネマトリンエース粒剤 15kg/10a ネマトリンエース粒剤 15kg/10a パストリア水和剤 2kg/10a パストリア水和剤は十分な効果を発揮するまでに期間を要するので、それまでは殺センチュウ剤と併用する。 定植時（12月） アブラムシ、アザミウマ類、うどんこ病、灰色かび病 アドマイヤー1粒剤 1g/株 ポリオキシンAL乳剤 1000倍 チェス粒剤 1g/株 硫黄粒剤 3kg/10a 育苗圃からの病害虫の持ち込みに注意する。 硫黄粒剤は作付期間中、継続処理する。 1月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病、アブラムシ、アザミウマ類 ダコニール1000 1000倍 ホライズンドライフロアブル 2500倍 アーデント水和剤 1000倍 モスピラン水溶剤 2000倍 ボトキラー水和剤 10g/10a/日 ビスダイセン水和剤 800倍 アーデント水和剤 1000倍 モスピラン水溶剤 2000倍 2月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病 アブラムシ､アザミウマ類 ビスダイセン水和剤 800倍 ベルクートフロアブル 2000倍 アミスター20フロアブル 2000倍 コテツフロアブル 2000倍 ベストガード水和剤 2000倍 ビスダイセン水和剤 800倍 ボトキラー水和剤 10g/10a/日 アミスター20フロアブル 2000倍 ダコニール1000 1000倍 コテツフロアブル 2000倍 カスケード乳剤 4000倍 草勢低下はべと病の発生を助長するので、草勢維持に努める。 適切な摘心、摘葉により混ませない。 午前中は温度を高めとし、午後は換気により温度を抜く管理を行う。 3月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病 アブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類 セイビアーフロアブル20 1000〜1500倍 トリフミン乳剤 2000倍 ダコニール1000 1000倍 コテツフロアブル 2000倍 モスピラン水溶剤 2000倍 スタークル顆粒水溶剤 2000倍 ボトキラー水和剤 10g/10a/日 セイビアーフロアブル20 1000〜1500倍 ダコニール1000 1000倍 アドマイヤー水和剤　2000倍 アーデント水和剤 1000倍 カスケード乳剤 4000倍 アプロード水和剤 2000倍 4月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病 アブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類、ワタヘリクロノメイガ ホライズンドライフロアブル 2500倍 モレスタン水和剤 4000倍 ペンコゼブフロアブル 1000倍 トレボン乳剤 1000倍 オサダン水和剤25 1500倍 モスピラン水溶剤 2000倍 ボトキラー水和剤 1000倍 Zボルドー 500倍 ロブラール水和剤 1000倍 ベストガード水溶剤 2000倍 カスケード乳剤 4000倍 アプロード水和剤 2000倍 デルフィン顆粒水和剤 1000倍 5月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病 アブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類、ワタヘリクロノメイガ ダコニール1000 1000倍 アミスター20フロアブル 2000倍 ペンコゼブフロアブル 1000倍 ベストガード水溶剤 2000倍 アーデント水和剤 1000倍 スタークル顆粒水溶剤 2000倍 ボトキラー水和剤 1000倍 Zボルドー 500倍 ペンコゼブフロアブル 1000倍 アファーム乳剤　2000倍 コロマイト乳剤 1500倍 デルフィン顆粒水和剤 1000倍 6月 うどんこ病、べと病、斑点細菌病、灰色かび病 アブラムシ、アザミウマ類、コナジラミ類、ワタヘリクロノメイガ ダイマジン 1500倍 ポリベリン水和剤 1000倍 トレボン乳剤 1000倍 アドマイヤー水和剤 2000倍 ボトキラー水和剤 1000倍 Zボルドー 500倍 コテツフロアブル 2000倍 ベストガード水溶剤 2000倍
5.	雑草対策 ・・・施設内の雑草を根絶し、外部から持ち込まない。
	作業内容 効果 作業内容 備考 土壌消毒 ◎ 太陽熱消毒あるいは熱湯消毒 十分に地温が上昇することが必要。 定植時の地温を確保する。 マルチ被覆 ○ 定植前に被覆する 手取り除草 ○ 必要に応じて除草 凡例 ◎：効果が高い、○：比較的効果が高い、△：効果あるが不十分、Ｘ：効果なし
6.	経営的評価（10a当たりの物財費と投下労働時間の比較）
	項目 慣行技術 改善議技術 備考 資材名 数量 金額（円） 資材名 数量 金額（円） 肥料費 牛ふん堆肥 1,000kg 9,600 牛ふん堆肥 1,000kg 9,600 苦土石灰 60 1,590 苦土入りセルカ2号 40 1,880 過リン酸石灰 5 215 過リン酸石灰 5 215 CDU複合燐加安S555 5 618 CDU複合燐加安S555 5 618 ハウス有機配合60 180 18,360 ハウス有機配合60 180 18,360 尿素入複合液肥2号 150 17,625 尿素入複合液肥2号 150 17,625 小計 48,008 小計 48,298 農薬費 バスアミド微粒剤 2,000g 2,795 パストリア水和剤 2kg 19,000 効果は10年と想定 ビスダイセン水和剤 500g 1,200 ネマトリンエース粒剤 15kg 10,110 ネマトリンエース粒剤 15kg 10,110 硫黄粒剤50 3kg 500 アドマイヤー1粒剤 1500g 1,620 ボトキラー水和剤 1500g 28,950 ポリオキシンAL乳剤 200ml 1,180 ビスダイセン水和剤 500g 1,200 ダコニール1000 600ml 2,376 アミスター20フロアブル 100ml 1,568 ホライズンドライフロアブル 240g 3,624 ダコニール1000 400g 1,584 ベルクートフロアブル 300ml 2,250 カスケード乳剤 150ml 2,910 アミスター20フロアブル 200ml 3,136 ロブラール水和剤 400g 4,440 スミブレンド水和剤 100g 1,926 Zボルドー 1200g 1,968 トリフミン乳剤 100g 830 ペンコゼブフロアブル 200ml 260 ロブラール水和剤 400g 4,440 チェス粒剤 1500g 1,805 モレスタン水和剤 50g 219 チェス水和剤 200g 2,432 ポリベリン水和剤 200g 1,540 アーデント水和剤 400ml 3,264 ペンコゼブフロアブル 400ml 520 モスピラン水溶剤 100g 1,684 アーデント水和剤 600ml 4,896 コテツフロアブル 200ml 4,432 モスピラン水溶剤 300g 5,064 アドマイヤー水和剤 100g 820 トレボン乳剤 600ml 5,328 アプロード水和剤 200g 1,192 コテツフロアブル 200ml 4,432 ベストガード水溶剤 200g 1,816 ベストガード水溶剤 200g 1,816 デルフィン顆粒水和剤 400g 4,448 スタークル顆粒水溶剤 300g 2,550 アファーム乳剤 100g 2,204 オサダン水和剤25 140g 1,002 コロマイト乳剤 140ml 1,294 アドマイヤー水和剤 100g 820 展着剤（リノー） 800ml 1,040 展着剤（リノー） 800ml 1,040 小計 64,714円 小計 98,921円 労働時間 作業名 回数 投下 労働時間 作業名 回数 投下 労働時間 土壌消毒 1回 5時間 堆肥・元肥散布 1回 5時間 堆肥・元肥散布 1回 6 追肥 15回 15 追肥 15回 15 薬剤散布 20回 40 薬剤散布 20回 40 小計 66時間 小計 60時間 物財費合計(全経営) 112,722円 物財費合計(全経営) 147,219円 投下労働時間合計(全経営) 1,247時間 投下労働時間合計(全経営) 1,241時間
6.	環境保全型農業技術のまとめ「ポイントとなる技術」
	病害虫防除関係 耕種的防除 センチュウや土壌病害を外部から持ち込まないよう、農機具の使用前後によく洗浄する。 べと病、うどんこ病の好適発生条件は相反するので、「蒸し込み」と換気のバランスを心かける。 午前中は十分に温度を持たせ、午後は徐々に温度を抜くように管理する。 適度の整枝・摘葉により通風をよくする。 物理的防除 施設開口部を寒冷紗で被覆し、育苗時の害虫侵入を回避する。 施設周辺を清潔に保ち、病害虫の発生源となる雑草を繁茂させない。 黄色、青色粘着シートなどを設置して、アブラムシやアザミウマの密度低減を図る。 化学的防除 病害虫の発生を的確に把握して初期防除に努める。 土壌肥料関係 土壌診断に基づいた施肥設計をする。 生育を見ながら少量・多回数の施肥とし、施肥総量が過多にならないよう心がける。 潅水量が多すぎると液肥の利用効率が落ちるので、流量計、土壌水分計を利用して適当な潅水量を把握する。 地下水位の高いほ場では、肥料の流亡に注意する。