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たまねぎ

来暦
たまねぎはインド・中央アジアが原産地と言われ、紀元前5000年以前にペルシャで、同じく紀元前4000年にエジプトで栽培されていました。
日本には徳川時代に長崎に入ったと言われますが、はっきりしたことは分かりません。本格的には明治時代に開拓使によって米国から導入されたのが始まりですが、アメリカ北部で栽培されていた品種が北海道で改良されて「札幌黄玉葱」が生まれ、同じくアメリカから大阪の泉南地方に導入された品種は「泉州黄玉葱」を生み出した。その後「貝塚早生」「今井早生」などが生まれました。このような品種が各地でさらにその土地にあった品種に改良され、数多くの品種ができました。
たまねぎの栄養
たまねぎの主成分はフラクトース、グルコース、シュクロース等の糖類が中心です。たまねぎの特有の臭いはアリシンという物質で、強い殺菌力とビタミンB1を吸収しやすくする働きがあります。また、ビタミンA、C、鉄分、石灰分を多く含み、高血圧の予防、血液の浄化に効果があります。
たまねぎの基礎知識
発芽適温 20℃
生育適温 17〜25℃
結球適温 15〜25℃
播種量 (10e当たり)4dl
苗床面積 (10e当たり)45〜50m²
花芽分化と抽苔 生育途中で5〜10℃の低温に30日以上あうと花芽分化をし、長日期に抽苔する。しかし、この低温感応は苗の大きさや品種によって異なり、一般に大苗になるほど抽苔しやすいが、多少抽苔するくらいの大苗が球の肥大もよい。
球の肥大条件 長日(12〜14時間)、適温(15〜25℃)条件で苗の大きいものほど肥大が早い。しかし、多肥期に窒素が多いと首が太く、品質・貯蔵性に劣る。また、大苗で越冬し、低温、乾燥、肥料切れ等により苗質が縮まっている場合には花芽分化し、抽苔が多くなる。
収穫 球の肥大充実が進むと自然に倒伏してくる。倒伏後、休眠に入るころ晴天の日を見計らって抜き取り、畑で1〜2日間乾かして取り入れる。
オニオンセット球 冬〜早春に新玉葱が食べられます。
あまり大きなセット球は、分球することがあります。直径が100円玉から10円玉くらいのものがよいでしょう。
栽培のワンポイント
育苗のポイントは?
播種期はその地域の播種適期をつかむことが大切です。関西の暖地の場合、早生種が9月20日過ぎごろ、貯蔵種では9月末が適期となっています。
徒長苗は倒伏して苗質が悪くなります。かたくて丈夫な苗を作るために、本葉1枚が伸びきったころには潅水を控えめにし、苗をしめて徒長ぐせをつけないように注意します。このような育苗中期以降の水きりのため、また大雨などの冠水を避けるために、高畝や明渠などの排水対策を施すことも大切です。
苗床での防除は、本圃で病害を広めないために重要です。病気のついていない健全な苗を定植することが本圃での減農薬につながります。また病気の発生を防ぐため、苗床の近くには たまねぎの残さなど感染源になるようなものは置かないようにします。
貯蔵栽培における肥培管理のポイントは?
貯蔵栽培では、玉の糖度を上げる方向に諸管理を進めます。したがって、肥料で作りこむより少し抑えめに作ることがポイントで、切り玉出荷や業務加工用の多収栽培とは区別して取り組みます。チッソ過多になると玉への糖の蓄積が不十分になり、貯蔵性を落とすことになります。
特に野菜の後作では、チッソやリン酸過多になりがちなので、残肥をよく考慮して施肥量を決定することが大切です。
追肥は1月中旬ごろから3回程度に分けて計画的に施します。遅肥も多肥と同様に貯蔵性の低下につながるので、止め肥の時期は特に重要です。生育・肥大の最盛期にしっかり効き、肥大後期から倒伏期には肥効が穏やかになるように、3月上旬に最終追肥をします。
減化学肥料栽培を行う場合、有機肥料と化学肥料の特性をうまく利用することが大切です。有機肥料は、肥効がゆっくりと穏かなので元肥として投入し、作を通じての土台となる肥料として使うことが有効です。
一方、追肥は1月は根張りの促進、2月は抽苔の抑制、止め肥は肥大と、それぞれに目的があります。したがって、追肥は効かせたい時にきっちり効かせることが必要で、肥効のシャープな化学肥料が適します。
長期貯蔵のための収穫・キュアリングのポイントは?
貯蔵歩どまりを上げるためには、玉が十分に充実するのを待って収穫することがポイントです。倒伏後、葉の色が抜け首がやわらかくなり、玉がしまって固くなってきたころが収穫適期です。適期に収穫することは、糖が玉へ十分に転流し、形状や収量、貯蔵性の点で好結果をもたらします。収穫後は1〜2日地干しし、粗水分をとばしてから吊り貯蔵などを行います。また、除湿機や温風機などを備えたキュアリング設備の利用は、皮質も向上し品質アップにつながります。
貯蔵中の病害としては黒かび病や肌腐れが問題になります。これらの病気は、収穫後の生乾きの時期に感染していることが多いようです。したがって、しっかり地干しを行い、貯蔵庫でも風通しをよくし、少しでも早く表面を乾燥させることが大切です。
病害虫防除のポイントは?
これまでは収穫量を重視するあまり多肥栽培となり、病気が発生しやすくなって、その結果、農薬の使用量も増える傾向にあったのではないでしょうか。しかし安心・安全・健康が重視される現在、予防を重視した化学的防除はもちろん、もう一度、耕種的防除を見直す必要があると思われます。チッソ過多は、灰色腐敗病や軟腐病の発生を助長します。貯蔵性の点だけでなく、病害を抑えるという点でも多肥は禁物です。また、病株や残さの処理も非常に重要です。特にべと病については、越冬罹病株を圃場から処理することが大発生を防ぐためには有効です。