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コメ10年ぶり不作・・・在庫潤沢、供給不安なし

日経・・・2003/08/28
農水省は8月27日、8月15日時点の水稲の作柄状況を発表した。低温や日照不足の影響で、北海道や東北三県の作柄が「著しい不良」となるなど、コメ不足が起きた1993年以来の不作になる見通しになった。すでに一部銘柄米を中心に値上がりもみられるが、農水省はコメ在庫は潤沢で緊急輸入に追い込まれた10年前のような騒動にはならないとみている。
10年ぶりの不作見通しになったのは、イネの生育に重要な7月中旬以降の気温が、北海道や東北地方の太平洋中心に低かったのが主因だ。
収穫時期が早い早場地帯の19道県の作柄は、北海道、青森、岩手、宮城が「著しい不良」、福島、三重が「不良」、山形など12県が「やや不良」、冷夏の影響が少なかった秋田だけが「平年並み」だった。
収穫時期の遅い遅場地帯では「平年並み」だった香川以外の26都府県が「やや不良」。早期栽培(超早場米)地域では沖縄のみが「平年並み」で、それ以外の4県は「不良」または「やや不良」だった。
冷害で外国米の緊急輸入に踏み切った1993年と比べると、コメの国内の需給はかなり違う。政府備蓄米と民間の自主流通米を合わせた国内在庫は今年10月時点で約150万トン。93年当時の国内在庫は今の6分の1以下の23万トンしかなかった。
この10年間で、消費者のコメ離れが進み需要も減っている。今年11月から始まる2004米穀年度の需要見込みは869万トンと10年前と比べて約8%低い水準だ。
農水省は、コメ価格高騰を抑えるために、例年より約2ヶ月早い9月に、政府在庫米のうち38000トンを市場に放出する。コメ流通業者に便乗値上げ防止を求めるなど対策には万全を期すが、農水省は今の需給状況からみて「コメの安定供給に支障はない」と説明している。
深刻なコメ不足は回避できそうだが、所得減少につながるコメ農家は不安を強めている。仙台市の農家、佐々木均さんは「売り物にならないコメが増え、収入は半分くらいになりそう」と話す。
福島県の太平洋側地域でも、収穫量は平年より一割以上落ち込む見通し。
北海道でも「穂に実が入っていないもみが平年の2倍程度ある」(美唄市農協)という。
コメ不作に備えた保険の農業共済では、今年は多額の共済金を支払う見通しだ。国は93年にはこの共済組合に約4千億円を払っており、今年はそれ以来の大きな支出になりそうだ。
銘柄米価格に上昇圧力
10年ぶりの不作が濃厚となり、コシヒカリなど有名ブランド米には価格上昇圧力が強まっている。九州・四国などでとれた新米は一部市場に出始めているが、宮城産コシヒカリの新米は卸価格が前年比で五割上昇。小売価格もイトーヨーカ堂で高知産コシヒカリの新米が5キロ2550円など10%近く高い。
昨年産のコメも有名銘柄は値上がりしている。店頭では秋田産あきたこまちが5キロ2300円前後と2ヶ月で10%高となっている。銘柄米は卸段階で一段と仕入れ競争が激しくなっている。食品表示への関心の高まりで、産地や銘柄の管理が厳格になったことも、以前に比べて有名銘柄米が値上がりしやすい環境をつくっている。
ただ、10年前と違い、消費者は値上げに敏感だ。大手スーパーは高値を避けるため、複数の銘柄を混ぜた割安なブレンド米の販売に力を入れ始めた。
イオンは銘柄名を出さず、2〜3割安いオリジナルブレンド米(5キロ500〜1600円)を主力商品に据えた。有名銘柄に頼らない売り場作りを目指し、現在はコメ販売量の約四割にのぼる。
年間約28000トンのコメを使用する牛丼チェーン、吉野家ディー・アンド・シーは銘柄米高騰が他のコメにも波及する可能性があるとみて、新米にブレンドする古米の分量を増やすなど食材費の増加を抑える方法を検討中だ。既に在庫米の積み増しも始めたが「仕入れ価格の上昇は避けられない」。前回の不作時には輸入米も仕入れたが、今年は使用しない考えだ。

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