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農業法人ビジネスに意欲

日本経済新聞・・・2003/07/17
特区支持6割越す、外部の出資2割前向き
日本の農業を「企業型」のビジネスにする動きが広がってきた。日本経済新聞社が農業法人に対して行った調査では商社、外食産業など「外部からの出資を受け入れて」経営体質を強化したいと考える法人が2割近くあった。農協に頼らない新しい販売ルートの開拓や、生産物のブランド化にも積極的。より一層の規制緩和を求めながら、競争力をつけていこうとする新しい農業経営の姿が浮き彫りになった。
農業法人とは?
農業を営む法人組織の総称。農作業の請負や農業加工を行う法人も含む。2000年2月で約13000社あり、5年前に比べ約3700社増えた。農業経営のため農地を利用できる「農業生産法人」と、養鶏業など農地を使わない「一般農業法人」に大別できる。
個人経営の農家に比べ、税制面や資金借り入れで優遇措置が受けられるため、これまでは、大規模農家が法人格を取得したり、複数の農家が協力して法人形態をめざす例が多かった。
政府は法人化による農業経営の効率化を推進。商社、食品メーカーなどが農業生産法人に出資することも認めたことから、企業マインドを持った農業法人が、日本の農業の競争力を高めていくと期待されている。
規制緩和求める
2001年の農地法改正で、農業生産法人の株式会社化が認められたが、回答を得た655社のうち、株式会社になっているのはグリーンきゅうず(滋賀県中主町)など39社(6%)。
ただ今後3年以内に株式会社化を計画・検討している法人が90社に上った。株式会社化の利点(複数回答)は「社会的信用」(56%)、「出資者の幅が広がる」(38%)などが上位を占めた。
資金調達は現在、銀行など金融機関、農協、自治体などの制度融資が三本柱だが、今後は「オーナー制度など消費者などからの出資」(10%)、「ベンチャーキャピタルなど外部資本の活用」(6%)、「債権発行」(3%)なども考えている。
こうした積極姿勢の裏には、農協に依存した従来型の生産・販売に限界を感じているのも一因。その一端が今後の販売戦略に表れる。
現在の販売ルートは「農協に委託」(30%)、「卸売市場へ販売」(15%)が中心だが、今後強化したいチャネルは「直販所で販売」(21%)、「インターネットを含めた消費者への直販」(19%)などで、「農協」(15%)は現状から半減する。「生産している農産物に自分のブランドをつけている」法人は29%。17%が今後つけたいと検討中だ。
政府が推進する構造改革特区のうち「農業特区」は、株式会社が用地を借りて農業に参入することを認める計画だが、6割以上の農業法人がこれを支持している。農業法人には攻め込まれる機会になりかねないが、特区の効果(複数回答)として「事業の受託やノウハウ提供などビジネスチャンスが広がる」(48%)、「遊休農地が有効活用できる」(56%)などを期待している。
ただ規制緩和には不満もある。一般企業の農業法人出資は現行では25%が上限(一社あたりは10%まで)。出資受け入れを計画・検討している法人の54%が、上限引き上げを求めている。
調査は全国の主要な農業法人に質問表を郵送、6月下旬までに回答を得た。売上高は1億円以上が47%を占め、十億円以上も6%。養豚業のはざま(宮崎県都城市)など6社は30億円以上で、地域の中堅企業と肩を並べている。
2002年度決算は52%が黒字で、赤字は25%。売り上げが前年度に比べ減少した法人は18%にとどまる。
企業も関心、参入相次ぐ
農業生産法人に関心を寄せる企業は多い。食品メーカーの場合は農家への委託栽培に比べて、自社の生産技術などが生かせるからだ。トレーサビリティ(生産履歴の追跡確認)など「食の安全」の確保の観点から注目する企業もある。ただ農業特区に限定して認めている株式会社の参入基準の見直しなど、一層の規制緩和を求める声があがっている。
メルシャンは6月、長野県丸子町で高級ワイン用ブドウを生産する農業生産法人を立ち上げた。
有限会社でメルシャンの出資は9%。従来は同県内の農家に委託していたが、世界的なブドウ栽培技術の進歩などを生かすためには「自社栽培」が有利と判断した。2年後には同県内で同様の事業を立ち上げる計画もある。
国内最大の「トマト農家」を目指すカゴメは広島県、高知県下の農業生産法人に約10%出資した。オランダから導入した栽培技術を使い、独自ブランドの生食用トマトを生産する。カゴメの2003年度の生食用トマトの販売計画は6千トン。2006年度には2万トンを見込む。しかし、一段の事業拡大には「経営の自由度を増すような規制緩和を期待したい」とする。

参考 農林水産省消費安全局・トレーサビリティ関係
社団法人農協流通研究所
食品トレーサビリティ協議会

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