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「栽培履歴」の開示の動き


1. 相次ぐ履歴開示
2. 食品会社、原料産地把握は1割
3. 全農・オンワードと高島屋が提携拡大

1. 相次ぐ履歴開示
「このきゅうりは12時に入荷しました」。
東京・目黒にある、東急ストアが展開する高級スーパー、プレッセ。店頭に設置された端末に触れると、画面に生産者の情報のほか、搬送経路や温度、産地から店までの入出荷時間が表示される。
同社は昨年秋から首都圏5店舗で野菜のトレーサビリティ(追跡可能性)実験を進めてきた。ICチップを埋め込んだカードをコンテナと一緒に流通させる仕組みだ。
生産や輸送の各段階で農家や流通業者がカードを読み取り機にかけると、時間や温度などの情報がサーバーに蓄積され、インターネットを経由して店頭で観覧できる。
食品表示への不信感の高まりに対応、生産履歴を開示する動きが相次いでいる。肉ではイオン、青果物ではマルエツなども一部で開始。消費者の関心も高く、5月上旬に野菜12品目で始めたイトーヨーカ堂では「通常の1.3倍の売れ行き」(青果部)という。
納豆や豆腐の原料となる大豆、ビールなどに使うとうもろこしでは遺伝子非組み換え品種を使用。食品メーカーの間では、作付け、流通の各段階で組み替え品と分別したことを示す証明書付きの調達が浸透している。
緒に就いたばかりのトレーサビリティだが、課題も見えてきた。全国農業協同組合連合会(全農)はコメや肉で開示を始めたが、必須である栽培記録を提出できる農家が少ない。さらに単位農協や卸売市場などを通す現行の流通システムでは履歴管理はコストがかさむ。スーパーの担当者は「価額転嫁を消費者が受け入れない限り、トレーサビリティの普及は4割が限界」と指摘する。
規定外の品が混入した際の責任の所在や賠償制度などの確立も欠かせない。だが、扱い量が増え流通過程が多岐になるほど対応は難しくなる。
昨年、スナック菓子原料の米国産ジャガイモに日本では未確認の遺伝子組み換え品が混入、メーカーは製品回収を余儀なくされた。ハウス食品は組み換え品は無しとの証明書付きで出荷した米業者に損害賠償を請求しているが交渉は難航。「事前の取り決めがなく、どこまで相手の責任が詰め切れない」(広報部)
混入時の対応が決まらないとトレーサビリティの信頼性をより高める取り組みも遅れる。食品メーカーの中には履歴を自ら検査するところもあるが、多くは「自主検査で組み換え品が見つかれば何万トンもの廃棄などが必要になる。証明書を信じるしかない」(米国産とうもろこしを輸入するメーカー)と及び腰。
課題も多いトレーサビリティだが、「着実に信頼向上につながっている」(東急ストアの 神木 良和・野菜課長)。食材の大量購入による効率化が進む一方で、品質管理へのきめ細かい努力が求められている。
2. 食品会社、原料産地把握は1割
自社製品の原材料について、生産地などをきちんと把握している食品メーカーは1割にとどまっていることが15日(2002/5)、東京都などの調査でわかった。原産地などの虚偽表示が相次ぎ、消費者の食品に対する安心感が揺らいでいるが、大半のメーカーは書面で受けるなど取引先任せにしていた。
調査は、生産地や流通過程など原材料に関する「トレーサビリティ」(履歴追跡)概念の実態把握を目的に3月、都内のスーパーと取引がある食品メーカー200社を対象に実施。88社から回答を得た。
3. 全農・オンワードと高島屋が提携拡大
高島屋は取引先との提携を強化する。食品では全国農業協同組合連合会(全農)と組み、栽培の履歴と品質がインターネットで確認できるコメなど4品目を中元商品に投入。衣料品ではオンワード樫山と共同開発した婦人服ブランドを9月に発売する。独自商品をそろえ集客力を高める。
食品の4品目は牛肉、コメ、茶、しいたけ。飼育記録や品質などを全農の専門検査員が産地に出向き調査する。高島屋は中元カタログや店頭表示でその内容を明記したり、インターネットでも情報提供する。
オンワードの新ブランド「アエル」は、まず東京店(東京・中央)など7店舗で販売。販売状況や生産コスト、在庫状況まで情報を共有、商品開発や販売戦略に活かす。

参考 農林水産省消費安全局・トレーサビリティ関係
社団法人農協流通研究所
食品トレーサビリティ協議会

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