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信頼揺らぐ「有機」認証

日経・・・2003/08/31
業者など不正相次ぐ・・・農水省が実態調査
 農薬や化学肥料を使わずに栽培した農産物に「有機」の表示を認める国の認証制度がほころび始めている。一定の基準を満たした食品にお墨付きを与えるはずが、検査を行う民間の認証機関が不正な認証をしたり、製造業者が偽装表示するケースが続出、信頼性が揺らぎつつある。
農水省は今月下旬、全都道府県で実態調査に乗り出しており、不正業者は販売停止などの処分に踏み切る。
 日本農林規格(JAS)法に基づく有機認証制度は2001年4月に始まった。それまでまちまちだった「有機」や「オーガニック」の表示に統一基準を設定。国が認めた第三者機関による検査に合格すると、JASが定めた認証マークを表示できる。健康ブームを受けて表示が乱立する中、食品の安全性に国がお墨付きを与えるのがねらいだった。
 ところが昨年来、認証機関や生産者、加工業者の不正が相次いでいる。
 岡山県の食品会社が昨年5月、有機栽培でない大豆で作った豆腐のパッケージに「有機栽培大豆」などと偽装表示していたとして、岡山県警にJAS法違反容疑などで摘発され、昨年12月、岡山簡裁で罰金命令を受けた。
 認証機関では、日本オーガニック農産物協会(東京・千代田)が昨年末、認証検査員の報告書を改ざんし基準に合わない加工食品会社を不正に認証したとして、認証機関としての登録を取り消された。今年2月にはオーガニック認証協会(熊本市)が、検査を請け負った農家から国の認可なく「申請料」を徴収したとして90日間の認証業務停止処分を受けている。
 不正の頻発で消費者団体の間などでは制度の信頼性を問う声が高まっており、事態を重く見た農水省は、今月下旬から実体把握のための全国調査に乗り出した。
調査は、各地方農政局や地方農政事務所、独立行政法人「農林水産消費技術センター」(さいたま市)などが主体となり、認証機関から認証を受けている農家や生産者団体を対象に実施。農地、生産管理記録などを点検し、生産方法がJAS法の規定に違反していないかや、農薬の残留がないかを調べる。
 10月末までに全都道府県の計400件を調査する予定で、不正が見つかった場合はJAS法に基づく立ち入り検査をしたうえで、販売停止などの行政処分に踏み切る考え。
 不正が見つかった農家を認証した認証団体にも目を光らせる。
農水省は「心ない業者や認証機関の不正によって制度自体の信頼性が揺らいでいる。厳正な調査・処分を積み重ねることで消費者の信頼回復につなげたい」(表示・規格課)としている。
重い費用負担、不正の一因
 JAS規格に基づき「有機」や「オーガニック」と表示できる農産物は、
@2年以上農薬や化学肥料を使っていない農地で栽培、
A農薬や化学肥料を使わずに栽培、
B生産、加工、出荷までの工程が記録・管理
などの条件をクリアしたものに限られる。
 消費者の安全・健康志向を背景に、生産・販売業者らは高付加価値商品として高値で販売することを期待する。だが、実際にはあまり高値では売れないうえ、認証検査を受けるコスト負担も大きいことから「割に合わない」との声が多い。
 一方の認証機関も、検査依頼を他の認証機関に奪われまいと検査費用を抑えるために検査回数を減らす例もあり、過当競争が不正を招く温床になっている面もある。
 認証検査を行う「第三者認証機関」は現在、農産物・農産物加工品分野で66団体。認証を受けられるのは生産者や加工業者、流通業者、輸入業者。今年3月末で約3600業者が認証を受けたが、「認証申請は最近伸び悩み始めている」(農水省)という。

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