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輸入農産物品にどう対抗すべきか

昨年1年間の農畜産物の輸入状況が、財務省のまとめた通関統計で明らかになった。野菜や果物、牛肉は過去最高の輸入量で、もはや日本の食卓は輸入農畜産物抜きでは考えられない事態になっている。とりわけ、これまで鮮度や安全性で互角以上に戦えると思っていた野菜の輸入量が、281万トンに上がったことは驚異的である。今後の野菜生産・販売のあり方を根本的に見直す必要に迫られそうだ。
急増する生鮮野菜
野菜輸入で注目しなければならないのが、生鮮ものの輸入量だ。昨年の国内相場は全般に安値というだけでなく、品目によっては過去5年間、10年間で最低の価格を付けた。こうした記録的な安値相場であったにもかかわらず、生鮮の輸入量は過去最高の92万トンにも達した。1991年の台風・長雨によって はくさい、キャベツ、レタスなど葉物類が大きな被害を受け、その結果、野菜の輸入に風穴があいた。それにしても10年間で3倍以上の増加は、抜き差しならない事態だ。
今回の生鮮野菜の輸入実態で三つのことを指摘したい。1つは全体の4割が中国からの輸入という点だ。天安門事件を経て92年に改革開放政策が定着したが、その直後からの日本の量販店や輸入業者の投資が増え、94年前後から開発輸入が始まった。関係者によると、利益が出始めたのは、ここ数年と言われる。消費低迷という国内事情や安定供給という彼らの商品政策を考えると、よほど価格的に魅力が失われない限り輸入は続くと見るべきである。
二つ目は、輸入の生鮮野菜が消費者に定着している現状だ。農水省の食料品消費モニター調査では、「価格など場合によっては外国産を買う」が全体の37%も上がっている。特に、若い世代の20代では、これが53%と5割を超えている。調査は原産地表示をきちっと行っていることを前提に質問しており、価格が安ければ外国産を購入する層は決して少なくないのである。スーパーが最近、国産と輸入品を並列販売するのも、こうした消費者層がいることを背景にした自信の表れだろう。
この層の購入行動が、今後どのようになっていくかが、今後の輸入量と密度にからまってくる。
市民権得た輸入物
昨年の輸入実態を見ると、米国のブロッコリーやメキシコのカボチャが不作で輸入が少なかった。もし、これが平年作であれば、生鮮の輸入量は全体で100万トンに近づいたと見ていい。これは、国内の野菜生産量1300万トンの約8%に達する規模だ。流通分野では、農畜産物に限らず流通量の10%を握れば販売に一定の「発言権」が持てる。輸入野菜はすでにその領域に入ったと見るべきだろう。これが指摘した三つの点だ。
こうした三つの現状を認識した上で、国内産地はどのような対策を立てるべきなのだろうか。最も重要と思われるのは、品目ごとに産地JAが需給情報の交換とその対策を的確にすべきことだ。これまでのような産地間競争にとらわれていては、輸入がその間隙を突いてくるのは目に見えている。できること、やるべきことを、いまこそ実践に移すべきだろう。
輸入たまねぎ7割が「不合格」
中国などから輸入されているタマネギの7割が、農水省の輸入植物検査で「不合格」となっていることが農水省の調べでわかった。ネギアザミウマなどの害虫が付着しているためで、殺虫処理すれば合格品となり、国内で流通できる。国産たまねぎは十分に乾燥させて出荷しているため、こうした虫は付いておらず、殺虫処理はしていない。
1月末から2月中旬までの輸入ためねぎの検査数量は約19600トンに上った。
これらの不合格品は、農水省の植物防疫所で青酸ガスや臭化メチルで殺虫処理した後、残留農薬を調べる厚生労働省の検疫を受け、問題がなけらば国内で流通できる。
2000年のたまねぎ輸入量は262000トンと、1996年の1.4倍。生鮮野菜の中で最も多い量となっている。
たまねぎ だけでなく、ねぎも3600トンの検査量のうち、約2000トンが不合格。ピーマンは920トンの検査量のうち、57トン(6%)が不合格だった。トマト、ミニトマトには不合格はなかった。
消費者からは「輸入農産物が、そんなに殺虫処理してあるなんて(食べる側からすれば)気持ち悪い。輸入は国産が不足している時だけに限ってもらいたい」(消費科学連合会)との声が出ている。
輸入農産物・国産の安定供給で対抗を・・・
外国産と表示されなければ区別のつかないほど、品質の向上した輸入農産物が安さを武器に、年中洪水のごとく日本に押し寄せている。この洪水は、一般セーフガード(緊急輸入制限措置)を早期に発動してもらうことによって、ひとまず止めることも必要である。しかし、自由市場経済の推進は、世界のすう勢だから、購買・選択の判断こそ消費者にゆだねるべきである。かつての肉牛、さくらんぼ、りんご などで苦難の荒波を乗り越えた産地とすみ分けを上手に行っている消費行動は、良い例だ。
合わせて、安全性や新鮮さで国産の良さを強調できるだけの商品づくりと、地産地消の効能などを説くことも一策である。また、農業経営が成り立つような環境と基礎の整備を血を見る思いで改革し、確立することが肝要である。
国民の健康と環境保全を考えて、より安心で、おいしい農産物を安定供給しようと努力している産地には、消費者もきっちりと答えを出しているし、今後も農家に報いてあげるはずである。
みずほの国でありながら、稲わらを平気で輸入に頼る農業や八郎潟のように大型干拓をした土地ですら減反を求める政策、農産物の0.1%にも満たさず、実際の認証には問題の多い有機農産物などの行く末を案じ、疑問を持たざるを得ない。
生活資材の世界一輸入国でありながら、消費は美徳なりを経験した国民が、遅まきながらも子供たちに食料の大切さを教育し、国産米の普及に努めていることなどは、日本農業の将来あるべき姿を真剣に考え出したことと喜ばしい限りである。
天候が原因とは言え、高値安定が続くと仲卸や加工業者は悲鳴の果てに安い輸入品に頼らざるを得ない事情もぜひ理解してほしいものである。さもなければ生産者は、供給責任を果たす努力をしてきたかと問われる。消費者や外食産業などの買える価格を超えた高値こそ、海外農産物が高波として突破口となることも心して、問題解決を図ってほしいものである。
参考ページ:「セーフガード、ねぎ等3品目の農産物、暫定輸入制限発動へ