各種天敵に対する影響(室内試験結果)
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幅広い天敵類に安全性がありますが、カブリダニ類に対して影響があります。 |
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供試天敵 |
影響評価 |
供試ステージ |
試験方法 |
試験場所 |
ククメリスカブリダニ |
X |
幼虫 |
リーフディスク試験 |
結城中央研究所(2008年) |
◎ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
チリカブリダニ |
X |
幼虫 |
リーフディスク試験 |
結城中央研究所(2008年) |
○ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
ニセラーゴカブリダニ |
△ |
卵・幼虫 |
リーフディスク試験 |
結城中央研究所(2008年) |
◎ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
ミヤコカブリダニ |
X |
幼虫 |
リーフディスク試験 |
結城中央研究所(2007年) |
◎ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
ケナガカブリダニ |
△ |
幼虫 |
リーフディスク試験 |
結城中央研究所(2007年) |
◎ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
タイリクヒメハナカメムシ |
◎ |
幼虫 |
濾紙接触試験 |
結城中央研究所(2003年) |
◎ |
成虫 |
濾紙接触試験 |
ハモグリコマユバチ |
◎ |
成虫 |
濾紙接触試験 |
結城中央研究所(2008年) |
イサエアヒメコバチ |
◎ |
成虫 |
濾紙接触試験 |
結城中央研究所(2008年) |
オンシツツヤコバチ |
◎ |
寄生蛹 |
虫体浸漬試験 |
結城中央研究所(2008年) |
サバクツヤコバチ |
◎ |
寄生蛹 |
虫体浸漬試験 |
結城中央研究所(2008年) |
コレマンアブラバチ |
◎ |
雌成虫 |
リーフディスク試験 |
(社)日本植物防疫協会研究所(2008年) |
ショウガタマバエ |
◎ |
成虫 |
濾紙接触試験 |
結城中央研究所(2008年) |
ヤマトクサカゲロウ |
◎ |
幼虫(1齢) |
虫体浸漬 |
結城中央研究所(2008年) |
◎ |
幼虫(2齢) |
経口試験 |
◎ |
成虫 |
産卵数/孵化率 |
BioChem agrar(2005年) |
ナナホシテントウ |
◎ |
幼虫(4齢) |
接触試験 |
Bayer CropScience GmbH
(2006年) |
◎ |
成虫 |
産卵数/孵化率 |
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有用昆虫・天敵関連影響期間一覧
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有用昆虫 |
作物 |
処理法 |
結論 |
ミツバチ |
いちご・メロン・すいか |
灌注 |
放飼可 |
散布 |
1日 |
なす |
灌注 |
放飼可 |
散布 |
1日 |
マルハナバチ |
トマト・ミニトマト |
灌注 |
45日 |
散布 |
30日 |
なす |
灌注 |
未確定 |
散布 |
45日 |
いちご |
灌注 |
45日 |
散布 |
30日 |
スワルスキーカブリダニ |
ピーマン・なす・きゅうり・メロン・すいか |
灌注 |
30日 |
散布 |
チリカブリダニ |
いちご |
灌注 |
45日 |
ミヤコカブリダニ |
散布 |
45日 |
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表中の影響期間はあくまでも目安であり、気象条件、栽培条件により変化します。あくまでも目安としてご利用ください。赤字が今回新たに設定された日数です。(平成27年5月15日作成) |
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作用機作
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モベントフロアブル(スピロテトラマト)は昆虫の生体を構成する脂質の生合成を阻害します。脂質の生合成で重要な働きを持つ酵素アセチルCoAカルボキシラーゼを阻害することで害虫の正常な発育を阻害します。これは従来の殺虫剤には無い新規の作用機作です。 |
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薬剤 |
作用性 |
作用点 |
モベントフロアブル |
脂質合成阻害 |
アセチルCoA カルボキシラーゼ |
有機リン剤
カーバメート剤 |
神経シナプスに作用 |
アセチルコリンエステラーゼ |
ピレスロイド剤 |
神経軸索に作用 |
ナトリウムチャンネル |
ネオニコチノイド剤 |
神経シナプスに作用 |
アセチルコリン受容体 |
一部のIGR剤 |
脱皮阻害 |
キチン生合成系 |
一部の殺ダニ剤 |
呼吸阻害 |
ミトコンドリア電子伝達系 |
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殺虫スペクトラム
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モベントフロアブルの登録濃度での生物効果は以下の通りです。 |
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類 |
害虫名 |
効果 |
コウチュウ類 |
ウリハムシ |
X |
チョウ類 |
全般 |
△ |
アザミウマ類 |
ミナミキイロアザミウマ |
◎ |
チャノキイロアザミウマ |
○ |
ミカンキイロアザミウマ |
○ |
ヒラズハナアザミウマ |
○ |
ネギアザミウマ |
○ |
コナジラミ類 |
タバココナジラミQタイプ |
◎ |
タバココナジラミBタイプ |
◎ |
オンシツコナジラミ |
◎ |
アブラムシ類 |
モモアカアブラムシ |
◎ |
ワタアブラムシ |
◎ |
ジャガイモヒゲナガアブラムシ |
◎ |
イチゴケナガアブラムシ |
◎ |
カイガラムシ類 |
マデイラコナカイガラムシ |
◎ |
ハダニ類 |
ナミハダニ |
○ |
カンザワハダニ |
○ |
トマトサビダニ |
◎ |
チャノホコリダニ |
◎ |
ハモグリバエ類 |
トマトハモグリバエ |
△ |
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◎:効果高い ○:効果あり △:効果弱い X:効果無し |
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ステージ別効果
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モベントフロアブルは成虫・卵に対する効果は低いですが、幼虫に高い効果を示します。成虫に散布した場合には、産卵量の減少や産下卵の孵化率の低下が見られます。 |
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供試植物:いんげん(セリーナ)/リーフディスク |
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試験方法 |
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成虫 |
: |
モベントフロアブルの2000倍液を薬液処理したリーフディスクに、プラスチック円筒を被せ、タバココナジラミ成虫を雌雄15頭ずつ接種し、2日後の死虫数を計数した。 |
卵 |
: |
インゲンのリーフディスクにタバココナジラミを接種し、実験室条件下で24時間産卵させた後、モベントフロアブルの2000倍液を散布し、処理7日後に孵化幼虫数を計数した。 |
幼虫 |
: |
タバココナジラミが産卵したポット植えインゲンにモベントフロアブルの2000倍液を散布し、リーフディスクを作成した後、孵化幼虫または4齢幼虫のみが残るよう対象齢以外の幼虫を除去した。処理後7日目に4齢試験区については正常な成虫を、孵化幼虫試験区については生存している幼虫数を計数した。 |
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低感受性個体群への効果
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モベントフロアブルは、既存薬剤に感受性の低下した害虫に対して高い効果を示します。 |
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供試作物 |
: |
ピーマン |
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区制 |
: |
1区1株3反復 |
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試験方法 |
: |
ポット苗にアブラムシを接種し、3〜5日後に定着・増殖を確認してから所定濃度の薬液を散布した。散布5日後の生存虫数を調査し補正死虫率を算出した。 |
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【バイエルクロップサイエンス(株)圃場試験センター(2012年)】 |
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供試作物 |
: |
ワタ |
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区制 |
: |
1区1株3反復 |
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試験方法 |
: |
2〜3齢の幼虫が寄生したワタの葉片を所定濃度に希釈した薬液に浸漬し、10〜12日後の生存数を調査し補正死虫率を算出した。 |
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【バイエルクロップサイエンス(株)AG研究所】 |
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二方向の移行性
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モベントフロアブルの有効成分は、散布後速やかに植物体内に取り込まれます。取り込まれた有効成分は従来の浸透移行性殺虫剤とは異なり、導管と篩管の二つのルートを利用し、植物体内を移動します。この上下二方向の移行性により、有効成分が植物体内にとどまり、害虫の防除効果が持続します。 |
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未展開葉への効果
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モベントフロアブルはその優れた浸透移行性により、散布後に新たに展開した新葉の害虫にも高い効果を示します。 |
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※ |
散布時、最上位展開葉に目印をつけ処理葉と未処理葉を区別し、目印の上に新たに伸びた葉の幼虫数を調査した。これらの葉は、散布時に未展開葉であり、薬液は付着していない。 |
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効き方:モベントフロアブルは植物体内に入って効果を発揮します
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モベントフロアブルの殺虫成分は代謝物スピロテトラマト-エノール体です。 |
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散布後、スピロテトラマトは速やかに植物体内に吸収されたのち、エノール体への代謝されます。 |
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害虫は植物体を吸汁することで、エノール体を体内に取り込み死に至ります。 |
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殺虫試験の虫体浸漬法では接触毒性の高い剤は効果を示しますが本剤は十分な効果を示しません。 |
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一方、葉片浸漬法では、植物体内で代謝物が生産されるため、効果を発揮します。 |
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耐雨性
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モベントフロアブルは散布後速やかに植物体内に取り込まれるため、降雨の影響を受けにくい薬剤です。 |
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試験機関 |
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油日アグロリサーチ株式会社(2011年) |
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作物(品種) |
: |
なす(千両2号) |
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区制 |
: |
1区1株、3反復 |
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対象害虫 |
: |
モモアカアブラムシ |
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処理方法 |
: |
茎葉散布 |
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試験条件及び方法 |
: |
ガラス温室下、ポット試験。ハウス自然発生のモモアカアブラムシを処理当日、処理10日後、25日後の3回、株当り5頭接種した。 |
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降雨条件 |
: |
散布後、2時間風乾し葉状の水滴が乾燥した後に20oの降雨を1時間散水した。 |
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調査方法 |
: |
各株に寄生するアブラムシを全葉調査した。 |
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果実被害阻止効果
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モベントフロアブルはミナミキイロアザミウマの果実被害を抑えることで高品質な作物の収穫に貢献します。 |
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難防除害虫の同時防除
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モベントフロアブルは、近年問題になっている アザミウマ類、コナジラミ類およびアブラムシ類の同時防除が可能です。 |
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上手な使い方
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モベントフロアブルは、果菜類の吸汁性害虫を同時に防除することができます。また、残効性が長いので、ポット苗灌注と茎葉散布の組み合わせにより、従来の防除体系よりも散布回数を軽減することができます。 |
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アブラムシ類、コナジラミ類、アザミウマ類、ハダニ類は抵抗性の出やすい害虫です。本剤の効果をより長く維持するためにも以下の点に注意してご使用ください。
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殺成虫効果の高い、異なる薬剤との併用を心がけてください。 |
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連続散布は避けてください。 |
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登録濃度は必ず守ってください。 |
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散布ムラが無いように十分に葉裏まで散布してください。 |
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天敵や物理的防除手段等との体系を心がけてください。 |
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作物残渣は害虫の発生源になります。必ず適切に処分してください。 |
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