アグリビジネス最前線・・・
株式会社喜多猿八 代表取締役社長 喜多 克幸

創業百周年を迎えたのに伴い、昨年四月、喜多猿八商店から社名変更した喜多猿八。社名の由来は猿年、八月生まれだった創業者のフルネームだ。
百一年目の船出がくしくも新世紀の幕開けとなった同社は、「夢とロマンの21世紀ビジョン」を打ち出し、新たな事業展開に乗り出している。喜多克幸社長は、「農薬卸の将来に夢を描けるように、農業商社として何ができるのかをまとめたのが21世紀ビジョンだ。農業から派生して、植物を育てたり、食物の生産と流通に新風を吹き込んだりすることの出来るビジネスを広範囲に探っていきたい」と抱負を語る。
香川県内を商圏とする同社アグリビジネス部の売上構成は、農薬販売が85%を占め、残りの15%が農業資材となっている。現状、農薬に特化しているだけに、新分野の開拓に向けた意気込みには並々ならぬものがある。
「耕地面積の減少や減農薬傾向の高まりなどにより、農薬需要は縮小しつつある。今後も国内のパイ拡大は見込めないだろう。農業資材の売上構成比を高めるなど眼前の戦略はもちろんだが、事業の活性化にはさらに長期的なビジョンが不可欠」と喜多社長。

21Cビジョン、五本柱の具体化へ

「夢とロマンの21世紀ビジョン」は、95周年を喫機にプロジェクトを発足させ、五年の月日をかけてまとめあげたものだ。全社員が参画した。その骨子は、@景観総合研究事業、Aリサイクルコンサルテーション事業、Bクラインガルテン事業、C栽培総合研究事業、Dアグリマーケティング事業の五本柱で構成されている。同社が目指すのは、「お客様のお役に立つ」という思想を原点に、人と自然にやさしい農業、環境のあり方を研究して生活の潤いを提供する役割を狙い、ビジョンの実現を通じて地域社会の発展に貢献していくことである。

まずは屋上緑化事業の推進に拍車

五本柱の中で最も事業化が進展しているのは景観総合研究事業である。具体的には芝生を植栽した屋上緑化システムの開発に取り組んでいて、すでに試験プラントは完成済み。今後は「低コストで簡便な施工」という同システムの特徴を前面に押し出して、普及拡大に弾みをつけていく考えだ。
このほか、農家とのパイプ役を果たすことにより、貸し農園、体験農園などの運営を手掛けるクラインガルテン事業、ロックウールシステムの販売実績を基盤に新しい栽培技術の開発やその情報提供などを行う栽培総合研究事業、農産物のブランド化を提案して生産者と消費者を結びつける新しい農産物流通の構築を狙うアグリマーケティング事業など、具体化に向けた体制は着々と整いつつある。農産物のマーケティングでは、昨年8月から毎月一回第三土曜日に、本社店舗を解放して「ふれあい産直市」を開催するなど、消費者のニーズとウォンツの情報収集に積極的に取り組んでもいる。

技術普及に注力、卸機能充実へ

三年前に新設した本社・高松事業部には、農家が来店して農薬や農業資材を購入できる小売店舗を併設。昨年は、観音寺事業部にも、この小売店舗形態を新たに整備した。
喜多社長は、「来店して、病害虫の発生状況や適用農薬それぞれの特徴などについてきめ細かく相談し、納得した上で購入するのが、農家にとって一番の満足感となるのではないか。農薬卸のメイン機能は、新商品をいかにマーケットインさせるのかという技術普及力にあると考えている。これが無くなれば単なる物流機関となってしまう。技術普及力こそが、生き残りの軸であり、農家、JA、小売店、農薬メーカーからの信頼獲得につながる」と語る。
「農家にどれだけ喜んでもらえるのかが当社のポリシー。満足してくれるお客様が一人でも多く増えるように一歩一歩努力を積み重ねていきたい。そのためには農家との親密な対話が絶対条件」と言葉を締めくくった。


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