2016年4月「日本保険薬局協会会報誌 NPhA」の「地域のトップランナー」に掲載された、グリーンジャパンメンバー社株式会社池田の 池田 晃司社長の記事を紹介します。

簡易郵便局・コンビニ招致した利便性高い薬局を開発
介護、農薬卸売、無人ヘリの農薬散布等にも事業基盤を構築
 111年前、現在の秋田県由利本荘市で、池田(池田晃司社長)は薬舗として、その歴史をスタートさせました。鳥海山の麓という恵まれた自然環境から、農薬の卸売にも事業を拡大、現在でも農薬販売は続けられています。
 近年、農家の高齢化が急速に進みました。そのため、農薬は容易に入手できるものの、散布する人手不足が顕著になり、無人ヘリコプターによる農薬散布事業に進出、現在では青森県での事業所を含めて計20機の無人ヘリを保有し、サービスを展開しています。また、農産物の販売所やレストランの運営にも着手、地域産業の振興にも積極的です。
 一方、2000年に介護保険制度がスタートすると、直ちに介護用品のレンタル事業に進出、現在までにデイサービスやショートステイ、高齢者向け配食事業などに業務領域を広げてきました。
 こうした事業の構築は、同社が、安心・安全・安定した「食・健康・暮らし」の提供を、経営理念としていることに由来します。特に、同社の原点である薬局事業は、「健康」に直結する領域であり、年商約70億円のうち、およそ半分が調剤事業から生み出されています。
 同社の22店舗の薬局は、地盤の由利本荘市に半数近くが展開されています。次いで、秋田市に多く出店、残るは県内各地でサービスを提供しています。
 薬局運営上、同社が最も重視しているのが、患者さんや顧客との人間関係です。100年を超える老舗薬局の極意が、ここに集約されています。
 池田晃司社長は、「患者さんや顧客との心地よい距離感を大切にしてきた」と、率直に話します。
 「意外と、薬局や薬剤師は名前を患者さんに覚えられていません。心に残っていないからです。そのため当社では、まず良好な人間関係を作り、いつ行っても居心地が良いと感じてもらえるような接客を心掛けてきました。正確な調剤はロボットを導入すれば代行できますが、ホッとできる雰囲気作りは人間でしか出来ません」(池田社長)
 薬舗が原点のため、OTCは全店で販売、処方せんを持たずに来局できる雰囲気は、今も昔と変わらないそうです。池田社長はまた、OTCを販売する意義を、社員教育にも見出しています。「接客トレーニングにはOTCは欠かせないツール」と断言します。
「簡易郵便局・コンビニ、招致した利便性高い薬局を開発」
池田薬局わかば店(由利本荘市)
ケアマネ常駐した新タイプの薬局
 新タイプの薬局開発にも意欲的に取り組んでいます。昨年、同一敷地内にコンビニエンスストアと簡易郵便局を併設した池田薬局わかば店を、由利本荘市内に移設オープンしました。利便性の高いコンビニと、住民に不可欠な郵便局を併設することで、薬局自体の利便性を高め、付加価値をアップさせました。
関連社会福祉法人が来年、薬局近隣に特養・サ高住を開設
 来年3月には、関連する社会福祉法人が、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を併設した特別養護老人ホーム(特養)を、隣接して開設する計画です。1・2階が定員29人の特養に、3階は16部屋のサ高住に充てる構想です。
 「薬局の周辺を介護施設が集中した地区に育てていきたいと考えています。配食事業や農産物の直売所を手掛けていますので、地産の野菜などを利用した食事を、サ高住の高齢者に提供するつもりです」(池田社長)
“孤食”の高齢者向けに食事会開催を検討
池田薬局ことう店(八郎潟町)
コミュニティースペースを十分に確保
 また、昨年11月には、これもまた新タイプの池田薬局ことう店(八郎潟町)を開設しました。同店にはケアマネジャーが常駐するほか、地域住民が集える十分なコミュニティースペースを確保、「薬局らしくない薬局づくりを目指した」(池田社長)そうです。
 今では1日に100枚前後の処方せんを応需する一方で、サプリメントや健康茶などを豊富に品揃えし、処方せんを持たずに来局する住民も少なくないようです。
 「土日には、何らかのイベントを開催したいと考えています。例えば、薬局周辺でも一人暮らしの方が多くなっており、“孤食”を強いられている高齢者がおられます。そうした方々をお呼びして食事会に参加していただければ、きっと気分転換になるのではないかと思っています」(池田社長)
 ことう店には週に2〜3回、同社の管理栄養士が足を運び、栄養相談会も開いています。
 現在、同社の管理栄養士は、薬剤師が由利本荘市内で行っている在宅医療に同行、在宅患者さんを栄養面からサポートしています。今年4月には管理栄養士が新たに2人入社、経営理念である「食・健康・暮らし」の中で、「食」サービスの拡充に貢献することが見込まれています。
 100年以上にわたり地域に、安心・安全・安定した「食・健康・暮らし」を提供してきた同社。時代と地域のニーズに応える目線は、時に経過があったとしても、全く動ずることがなさそうです。
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