アグリビジネス最前線・・・
グリーンテック九薬株式会社 社長 松木 三男

グリーンテック九薬は、九州地域における農薬専業卸のリーディングカンパニー。農薬部門の構成比は総売上の八割を超え、ここ数年、着実に実績を伸ばしている。松木三男社長は「企業を良くするのも、駄目にするのも結局は人。農薬卸業にとって一番大切なのは人的資源だ。ここまで成長してこれたのも多くの人の支えがあったからこそ。人と人とのつながりの大切さは、顧客や農薬メーカーとの間ではもちろん、社内でも同じだ」と理念を語る。

合併で営業網を九州全域に拡大

同社は1998年、サガ植薬販売および九薬・植薬資材部門と合併して、社名をグリーンテック九薬に変更した。合併にともない新たに長崎県と佐賀県、福岡県北部の拠点を加えて14営業所体制とし、文字どおり九州全県・全域をカバーする営業網を構築した。「営業の広域化によって経営の安定化を図ることができ、人的資源も強化できた。組織の効率化により間接費等の経費削減も達成しており、対外的信用も大きく高まった」と松木社長は合併効果を強調する。
 企業文化の違いから合併後に超えなければならないハードルの高さが強調されるケースも間々ならず見受けられるが、同社は創立以来、幾度かの合併を経験しており、「融和はスムーズに運び、既に軌道に乗っている」。

地域密着型営業と卸機能の創造

とはいえ、農薬業界の状況は厳しい。ゼロ成長、あるいはマイナス成長を予測する向きが体制を占める現状だが、松木社長は「環境は厳しいが、その中でも企業として生き残っていかなければならない。そのためには当社の強みである地域密着型の卸機能をフルに発揮していくこと、また、従来の枠にこだわらない新しい卸機能を創造していくことが必要になる」と今後の戦略を明示する。「農薬メーカーが果してきた機能の一部を、卸業が担っていかなければならない場面が、今後は必ず増えてくる」と見るからだ。
"卸機能の創造"を目標に揚げ、同社が先ず取り組んでいるのが技術サービス体制の強化である。毎年、営業陣全員を集めて、数日間にわたる技術研修会を実施。さらに、各営業所ごとに技術キーパーソンを任命し、その担当者が2ヶ月ごとに集まり勉強会を行っている。そこで得た最新の技術情報を各営業所にフィードバックするシステムだ。かつて、技術部と営業部の二本立てを試みたこともあったが、業務の連携が十分でなく普及販売の強化に直決しない状況が見られた。この反省を踏まえての全員参加体制であり、技術サポート体制における営業全体のレベルアップを狙っている。今年の技術研修会では、農薬の適正な保管輸送に関するマニュアルを作成するとともに、すべての営業車輌に防護具を常備する体制を整えるなど、安全対策に関する研修と対策にも怠りない。

受粉蜂、天敵でパイオニアを自負

同社は受粉昆虫マルハナバチの販売実勢でトップを走っているほか、早くから天敵の普及を推進しており、環境保全型農業の構築をにらんだ展開でもパイオニアを自負している。天敵では専門の技術担当者が農家と栽培計画の段階から密接に関わり天敵防除体系の確立に取り組んでいる。「天敵をはじめとする生物農薬は、総合防除(IPM)のなかで重要な部分を担っており将来的に大きな柱になる。簡易ハウスから本格的なグリーンハウスへの移行が進みつつある施設部門も今後の成長株」と期待を込める。
 「日本の農業は非常に苦しい状況にある。しかし、21世紀には世界的な食料危機も予測され、食料生産基盤の重要性は益々高まっていくだろう。現状を乗り越えれば、産業としての農業が脚光を集める時代が必ずやってくる」と力を込める松木社長。買う術も買う食料もない終戦後の食糧難を自身で経験している。農業とそれを支える関連産業の将来に対する思い入れは熱い。

グリーンジャパンホームへ