アグリビジネス最前線・・・
京浜興農株式会社 社長 羽隅 弘治

「21世紀の半ばにも世界的な人口爆発と食料危機が予測されている。生命産業の代表格である農業が、わが国で滅びてしまったらどうなるのか。減反、高齢化、後継者不足など、神奈川県の状況は、当に日本農業の縮図といえる。当社の事業展開の中で、神奈川の農業、ひいてはわが国農業を守っていけるよう貢献していきたい」と口火を切るのは、京浜興農の 羽隅 弘治 社長。創業50周年を迎えた同社の商圏は、都市近郊農業のメッカである神奈川が中心となっている。それだけに、農産物の安全性や環境問題に対する消費者ニーズを肌で感じる毎日といえそうだ。

新ネットサイトで消費者に情報提供

同社は、消費者に農業現場の情報を正しく伝えることを目的の一つに揚げ、今年2月にスタートした新農業ネットサイト "グリーン・ジャパン" の事務局を務めている。サイト運営の母体は、農薬や農業資材の卸問屋10社により組織される "グリーン・ジャパン 研究" で、羽隅 社長が発案・言い出しっペの一人だ。各メンバーの立地は東北から九州まで広い地域をカバーしている。
 コンテンツの特長の一つは、病害虫防除や減農薬・省農薬・土づくりなど生産者向けの情報に加え、ガーデニング、楽しい家庭菜園、栽培の手引きなど消費者を対象にした充実していることで、農家と消費者を結ぶ情報交流の場を目指す。"芝生に見慣れない虫がわいたがどうしたらいいのか" "庭の雑草を枯らしたいがどんな除草剤があるの" などと、一般家庭からのアクセスも多く、研究会の専門家が一つひとつの疑問に答えている。
 「正しく情報を公開すれば、農薬に対する誤解と偏見もなくなる。消費者は安全で美味しい農産物を求めており、生産者はそうした約半年余の助走期間中に寄せられた要望や意見を集約し、今秋にも新たなサイト運営を本格化させていく計画。その目玉は、消費者が特産品を注文できるコーナーの新設や広告媒体としてのアピールなどとなる見込みである。

JAグリーンの店舗運営に参画

「種苗から収穫に関連する資材まで、農業そのものと広く深くかかわっている」という同社は、今年3月、横浜市港北区にオープンした横浜北農協・JAグリーンの新店舗 "メルカート" に参画した。店舗面積の約半分、50坪をアウトソーシングの形で受託運営しており、約3000品目の販売を手掛けている同社は創業と同時に小売り店舗部門としてガーデンセンターを展開してきており、そこで長年にわたり蓄積してきた実績とノウハウを活かした事業展開と位置づけることができる。

新事業、水稲請負耕作を本各化へ

農業従事者の高齢化や後継者不足は我が国農業の共通課題だが、とくに神奈川では第三次管理的な農業での後継者不足がより深刻化している。「従来、農家同志の協力によって耕作放棄地の発生を防いできたが、それもそろそろ限界に近づいている」という状況。
 そこで同社は、水稲を対象にした請負耕作を事業化する準備も進めている。テストケースの今年は、約 1 fの水田を受託耕作。来年は、請負防除も含めていっきに約3000fにまで面積を拡大し、事業を本各化させる計画である。
 業界再編の波が押し寄せる中、「これまでは、商品構成を広げ各分野を深耕することで売上を伸ばしてこられたが、今後はそうは行かないだろう。売上拡大のためには、業務提携を視野に入れた広域化も必要になってくる。神奈川は作物の種類が数多く、農薬をはじめ求められる生産資材の種類が多岐にわたるだけに、豊富な商品知識やきめ細かい技術サービスを培ってきた。今後とも農業生産者の幅広いニーズに迅速に対応できるよう体制を強化していきたい」と意気込みを語ってくれた。

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