アグリビジネス最前線・・・
東海物産株式会社 社長 青木 邦夫

輸入農産物の増大や農産物価格の低迷、後継者不足など、我が国農業を取巻く環境は依然厳しい。東海物産の青木邦夫社長は「農業に夢がないと後継者は育たない。若者が明日の農業に夢と希望を持ち、積極的に跡を継いで発展させてくれるような、そういう環境作りに貢献するのがわれわれの役割と言葉に力を込め、今後の事業展開の方向性を指し示す。
同社の業容は売上構成比で約43%を占める農薬を軸に、肥料やハウス資材、M式水耕栽培プラント、ゴルフ場関連資材、請負防除、防疫資材などと幅広い。農業の商圏は、支店や営業所があり責任を持って技術指導できる三重、愛知、岐阜、静岡、石川の5県。その一方で、水耕プラントや海外から開発導入しているし器材については全国ネットで積極的な販売活動を展開している。今では広く普及している茶園の防霧ファン、マルハナバチ、ラジコンヘリなど、農業現場への導入に当り同社がパイオニア的役割を果してきた農業資材も数多くある。

海外産地の攻撃に危機感、新戦略へ

新資材や新技術の種を撒き、育ててきた青木社長は最近、我が国の農業の仕組みやあり方に対して疑問を投げかけている。「隣の韓国では、行政の主導で我が国市場を狙い打ちにした産地形成がスプレー菊やトマトで活発化している。生産農家と公的研究機関を併設した大規模ハウスの生産団地が運営されており、販売先は日本の量販店という官民一体の戦略だ。ちなみに、トマトは人気の高い桃太郎。国内産と比べ、品質面で若干の開きはあるようだが、このままでは我が国の農業が死んでしまう」と危機感を募らせる。

地域に根、独自品種でいちご産地

こうした状況に対校するため、「まず、農家が潤うのが先決」とする同社は、地域に密着したいちご産地の形成に乗り出している。大粒で日持ちが良く糖度の高いいちご新品種のサンエンジェルをイスラエルから導入し、国内の種苗登録は自社で収得した。現在、栽培管理のノウハウを蓄積しているところで、農家の収益安定化を図るため栽培面積は最大でも100fに限定する計画という。
こうした事業展開のカギを握る商材開発で、中心的役割を果しているのが同社の国際部。水耕栽培等の培地に使うロックウール、ハウス温度と温度を均一にすることで病気の抑制に効果を発揮するエアクイーン、環境保全型農業に役立つルアートラップなど数多くの商材を手掛けてきた。最近では、米社から糸状菌を利用したオンシツコナジラミ用の微生物農薬PFR(仮称)を導入。すでに農薬登録申請を済ませており、早ければ今秋にも商品化にこぎつけたい計画だ。
「日本農薬を世界の基準の中で見つめ直し、その植えで農家に何が提案できるのかを模索していく必要がある。農薬だけなく、幅広い資材のメニューを用意して「農薬」の相談に乗れる体制でなければならない。農家と共に農薬を総合プロデュースしていくような実績を、一つひとつ積み上げていきたい」との方針は、同社の問屋業としての生き残り戦略と言えそうだ。

将来に揚げる事業の四本柱

青木社長は当面の事業展開として、@環境保全型農業にマッチした商品開発、A地域農家とともに築き上げる産地形成、B新開発した水耕栽培用ワイヤレス制御システム「マリンコントローラ」、C海外からの導入商材の開発と四本の柱を揚げる。加えて、こうした展開を支える頭脳集団として、人材の育成にも力を注いで行く考え。
農薬流通は外資メーカーが進めている直販体制の強化などにより、構造的に大きな分岐点に差しかかっている。
「Will(=明確な意思と戦略)とSkill(=それを支える技術と人材)が無ければ、Kill(=市場から淘汰される)場面が、農薬メーカーであれ卸業であれ、早晩訪れるのではない」と予測する。

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