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食品安全のためのGAP(食品安全GAP)とは何か?gap |
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食品安全GAPとは、「農作業ごとに、安全な農産物を生産するための管理のポイントを整理し、まとめたもの」のことです。農業生産の現場において行う、プロセスチェック方式によるリスク管理手法のひとつで、具体的には、生産工程ごとに想定されるハザードとそれに対応したリスク管理措置をリストアップし、リストに従って着実にリスク管理措置を実施し、実施した内容を記録する
という一連の取組です。 食品安全GAPをつくり、農作業の実施状況を記録していく取組が世界各地で進められています。
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食品安全GAPの取組は なぜ必要か? |
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農業の現場には、病原微生物や有害な物質など、農産物の安全性に悪い影響を及ぼすさまざまな要因(危害要因)があります。これらの要因は、気象や土壌などの条件によって大きく異なります。このため、消費者が求める安全な農産物を生産するためには、産地ごとに食品安全GAPをつくり、これにもとづいた栽培管理を実施することが必要です。
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食品安全GAPに取り組むことによるメリット |
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- 的確な安全管理・・・農産物の安全性確保と産地の信頼の向上
- 適正な栽培管理・・・農産物の品質向上
- 農作業方法の見直し・・・農作業の効率化や農業経営の改善
- 農薬使用などの記録・・・トレーサビリティ・システムや生産情報公表JAS規格にも対応
など
- 万一の問題が発生した場合にあっても原因の特定と改善方策の検討が容易
- 記録をとることにより、リスク管理措置の実施内容について事後の証明が可能
- 栽培技術体系や経営内容の点検という副次的効果
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農薬のドリフト対策におけるGAPの活用 |
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- 農薬のドリフト対策を着実に実践するために、GAPのチェックリストに関連事項を盛り込むことが効果的
- チェックリストに盛り込むべき事項の例
- 散布作業は風が強くないことを確認したか
- 飛散しにくいノズルを使用したか
- 防除機の圧力、風量等を調整したか
- 対象作物に適切にかかるように散布したか
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食品安全GAPの手順の例 |
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- 対象とする農産物について、これから行う作業や使用する資材ごとに、農産物の安全性に悪い影響を及ぼすおそれのある要因を想定します。
◆農産物の安全性に悪い影響を及ぼす要因は何か?たとえば、
- 未熟なたい肥中の病原微生物(O157など)
- かん水、洗浄水中の病原微生物
- ヒトの手指などの病原微生物
- 土壌中や水に含まれるカドミウムなどの重金属
- 基準値を超えるかび毒
- 基準値を超える残留農薬
- 虫の死がい、ネズミのふん など
- 「1」で想定した要因を、農業の現場において、できるかぎり小さくするための管理ポイントを整理し、一覧表にまとめます。
◆管理ポイントの一覧表(チェックリスト)のイメージ〔施設土耕栽培:トマト〕
ハウスの所在(ハウスNo. ):○○町 番地 |
月日 |
月日 |
作付前 |
土壌の重金属などの検査をしたか |
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使用水は病原微生物などによる汚染がないか確認したか |
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たい肥は完熟しているかどうか確認したか(製造温度記録等) |
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栽培 |
ハウス内や周辺は整理整頓し、清潔に保たれているか |
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かん水は果実に直接かからないようにしたか |
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農薬は使用基準に従い使用し、作業記録簿に記入したか |
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収穫 |
コンテナやハサミは、使用前及び使用後に洗浄したか |
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収穫物は丁寧に取扱い、異物が混入していないか確認したか |
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予冷庫は定期的に清掃し、温度管理記録簿に記入したか |
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- 「2」の管理ポイントの一覧表にそって作業が実施できたかどうか、その日付などを記録します。
- 作付け前から収穫(または出荷)までの作業が完了した時点で、「3」の記録をもとに改善すべき点などの見直しを行い、次の作付けに備えます。
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農業者をはじめとする関係者全員が食品安全GAPの考え方などを理解し、対象となる農産物の特徴やほ場の立地条件などの実態を把握します。
できることからはじめ、少しずつレベルアップを図ります。産地の関係者による研修会などを継続的に実施することも重要です。 |
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参照:食品安全のためのGAP 策定・普及マニュアル(農林水産省 消費安全局) |