農政情報

株式会社、全国で農業参入

農地賃借、特区方式を拡大
日本経済新聞・・・2003/05/11
農水省は株式会社の農業参入について、構造改革特区内の農地賃借に限って認めた方式を、2005年にも全国に広げて解禁する方針だ。
農業経営の効率化や地域の雇用確保に役立つと判断した。
株式会社の農地所有までは認めてないものの、賃借方式による全国参入に道を開き、食品や外食産業などが取り組みやすいようにする。特区での規制緩和を全国に広げる初の動きで、他省庁にも影響を与えそうだ。
農水省、2005年メドに法案
省内に今夏、専門チームを設け、特区での賃借(リース)方式による株式会社の農業経営に関する調査を始める。遊休農地の減少や雇用創出などの効果を見極めた上で、経営計画や財務状況など具体的な参入条件を詰める。
早ければ2005年の通常国会に、株式会社が農業経営の目的で借りることを制限している農地法の改正案か新法案を提出する。
賃借方式による農業参入は、農家から農地を買い取ったり借り入れた市町村を通じ、企業がリース料(賃料)を支払って借りる手法。農水省が今年4月、特区に限定して株式会社の農業参入を認めた際に導入した方式だ。同省は一fの農地のリース料で年20万円程度と試算している。
農水省はこれまで「農業以外の目的に転用される恐れがある」として、株式会社の農地借り入れを特区内に限る姿勢だった。だが、国内の遊休農地が直近調査の2000年までの5年間で1.5倍に膨らむなど、農業の担い手不足が深刻になっている事態を重視。賃借方式であれば違法転用などが起きた場合でも返還を求めやすく、全国で認めても問題はないと判断した。
ただ、農水省は農地を企業が購入する形での農業参入までは認めない方針。総合規制改革会議などは規制緩和を徹底し、株式会社が一定の条件の下で土地を購入できるよう求める可能性があり、今後の争点になる。
政府は特区の第一弾として、農業、教育、情報通信(IT)分野など57件を認定。農地関連では青森県や千葉県など8件の特区が認められ、カゴメが和歌山県内の遊休土地を借りてトマト栽培を進める計画だ。
居酒屋チェーンを展開するワタミフードサービスが野菜栽培に動いているほか、商社なども農業ビジネスに積極的に取り組む構え。規制緩和を特区から全国に広げることで、企業が戦略を進めやすくなる可能性がある。
株式会社の農地所有とは?
農地法は耕作者や農地の保護を目的に、農地の所有権移転や利用目的の転用を制限している。株式会社は農業生産法人にならない限り、農業経営のための農地を取得できない。農業法人になるには役員の半分以上が農業の常時従事者であるなど条件が厳しく、株式会社で農業法人となったのは40社余どまり。
農地売買や賃貸には地方自治体の農業委員会の許可がいるなど農地法の制限は多い。政府は4月、特区に限り農業法人以外の企業を対象に、賃借農地で農業をすることを解禁、全国に広げる先行事例とした。