農政情報

農業再編へ、「再生機構」

日経・・・2006/5/16
資産譲渡など各地で支援
 農林水産省は農業の構造改革を促すため農業事業者の再編を進める対策を本格化させる。経営不振の農家や農業法人に対し、耕作地などを別の担い手に譲渡・売却するよう促すほか、金融面で再編を支援する組織を各都道府県につくる。今月下旬から順次、各地で準備会合を開き、まず年内に10ヵ所の設立をめざす。
 経営体力が強い農家を育てて、日本の農業の国際競争力を高める。
大規模化で競争力
 農水省が各地で設立をめざすのは農業再生委員会。国と自治体が運営費を折半で出し、地元の農協、金融機関、弁護士、公認会計士らが委員となる。経営不振農家の申し出を受けて、再生が可能かどうかを見極め、難しい場合は、事業拡大に意欲を示す農家をあっせんし、事業譲渡・売却を促す。金融機関に債権放棄や融資を要請することもあり、農業版の産業再生機構といえる。
 農水省はまず今月下旬から各地で再生委設立の準備会合を開く。経営状況の診断方法や再生支援での金融機関との連携の仕方、他の農家への事業の引継ぎ手法などを助言。そのうえで地元関係者と調整して再生委の設立を急ぐ。
 農水省は2005年度から再生委設立をための予算を確保している。しかし、まだ北海道しか設立例がなく、しかも北海道は再編ではなく、経営不振農家の再生そのものに重点を置いている。農水省は今年度から再編を念頭に、各地に再生委をつくり、一挙に再編を進めることにした。
 農水省が再編を進める背景には、世界貿易機関(WTO)の農業交渉などで日本の保護農政への強い批判がある。一律に農家を保護する農政を見直し、経営基盤の弱い農家を減らして、強い農家を育ててれば、農業自由化に向けた環境が徐々に整えるとみている。
 農業収入が所得の五割以上を占め、65歳未満の労働力がある中核農家「主業農家」は2005年時点で43万人。1990年の82万人と比べると、この15年で激減している。国・自治体主導で再編を進め、中核農家など経営体力が強い農家を増やす必要があると判断した。農業事業者は経営が行き詰っても、自治体など公的な組織の仲介がなければ、他の担い手への売却は原則でできない。再生委を通せば円滑に売却できる。これまでは売却が難しく、耕作放棄地は2005年時点で3千8万ヘクタールと、この10年で8割も増えた。