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農薬の剤型とその特性・常用語と記号

農薬の剤型とその特性

剤型名 略称 英名 製剤の特徴
粉剤 粉剤 D dust formulation 農薬原体をクレー等の増量剤で希釈し必要に応じて安定剤等を加え、平均粒径10µm程度の微粉に製剤化したもの
DL粉剤 DL low drift dust(less drifting dust) 10µm以下の粒子を少なくし、微粉凝集剤を加え漂流飛散(ドリフト)を少なく抑えた粉剤
フローダスト(FD剤) FD flow dust 粒径5µm以下の粒子からなる微粉、施設内に動噴で散布すると浮遊、拡散して作物体に均一に付着する。粉剤の漂流性を最大限にを利用した製剤。
粒剤 粒剤 G granule 農薬原体をベントナイト、タルク等の増量剤と混合または増量剤に吸着あるいわコーティングした製剤で、粒径が0.3〜1.7mm程度の粒状の固形剤
微粒剤 MG
FG
micro granule
fine granule
粉剤の代替としてドリフトを少なくする目的で開発された、粒度範囲63〜212µm程度の粒剤
微粒剤F MGF micro granule fine 粉剤の代替としてドリフトを少なくする目的で開発された、微粒と粒径44〜105µmの粗粉からなる製剤
パック剤(仮称)
pack 粒剤を水溶性の膜で包装した製剤。包装は使用後水に溶けて有効成分が溶出する。水田処理用製剤
1キロ粒剤 LVG low voliume granule 3kg粒剤の成分含量を1kg製剤中に濃縮し、水中での成分の拡散向上を図り、省力化を狙った水田処理用粒剤
水和剤 水和剤 WP wettable powder 水に溶けにくい成分を微粒子とし、増量剤と界面活性剤を加えた粉末製剤。水に希釈・懸濁させて用いる。
フロアブル剤 FL flowable 成分の微粒子を水に分散させた粘稠な液状の製剤。水に希釈液の懸濁性は水和剤より優れる。
SC剤 SC suspension concentrate
ドライフロアブル剤 DF dri flowable 成分を界面活性剤、結合剤と共に粒剤に製剤したもの。水に希釈すると水和剤調製液と同様の微粒子懸濁液として均一に分散する。
水和性顆粒剤 WDG water dispersible granule
SE剤 SE suspo emulsion フロアブル剤とEW剤が同時に含まれる製剤。希釈・調整後の特性はフロアブル剤とほぼ同じ。
水溶性包装製剤 WSB water soluble bag 水和剤を水溶性の膜で包装した製剤。製剤調製時の粉立ち防止と簡便性を図った製剤。
乳剤 乳剤 EC emulsifiable concentrate 水に溶けにくい成分を水中で均一に分散するように界面活性剤、乳化剤を加えて安定化させた製剤。水希釈後は乳剤と同じ性質を持つ。
EW剤 EW emulsion oil in water 成分を水溶性のポリマー等で被覆することにより水に分散させた製剤。調整後の性状は乳剤と同じ。有機溶剤を用いないので危険物に該当しない。
水溶剤 液剤 L liquid formulation 水溶性の成分を液体製剤としたもの。原液あるいは水に希釈して用いる。
水溶剤 SP water soluble powder 水溶性の成分を粉末あるいは粒状にした固形剤。水に希釈すると容易に水溶液となる。
SG water soluble glanule
マイクロエマルジョン ME micro emulsion 水に溶けない成分を少量の有機溶剤、界面活性剤で水に分散させた液体の製剤。水希釈後は安定な液剤となる。
油剤 油剤
oil solution 原体をそのまま、あるいは有機溶剤に溶かした油状製剤。一般に製剤のまま用いる。
サーフ剤

形態、性状は油剤に同じ。施用法として水田の田面水に展開させるタイプの製剤。
その他の剤型 くん煙剤 SM somking pesticide 加熱により成分をガス、微粒子化して分散させる製剤。自然式のものは製剤中に燃焼剤を含んでいる。
エアゾル
earosol 缶入りのスプレー剤。ガス圧で薬剤を微粒化して噴霧する。使用法が簡便なため、家庭園芸用に使用される。
マイクロカプセル剤 MC micro capsule 高分子膜で成分を被覆した微粒子で、分解や揮発による消失を抑えて持続性を保つと共に、膜質や厚さの調整により薬剤の放出を制御する機能を持つ。
サイクロデキストリン剤 CD cyclodextrin inclusion compound 分子の中空部に成分を取り込み結合させた製剤。光、温度等の影響を受け難く、成分の安定性が持続する。
錠剤 T tablet 水和剤、水溶剤を固形化させ扱い易くした製剤。最近は粒子状、ゲル上の剤を薄膜等で包装した製剤も含まれる。

農薬等に関する常用語

  • 急性毒性(acute toxicity)
    薬物が動物体内に入ってから短期間に中毒病状を示す性質をいう。通常シロネズミまたはハツカネズミを実験動物として、これに農薬を1回投与してその半数が中毒死する薬量(LD50)を実験動物の体重1kg当りの薬量(mg)に換算して示す。
  • 亜急性毒性(subacute toxicity)
    比較的短期間に薬物が連続して動物体内に入った場合の毒性の表現。1〜2回の投与では中毒病状を示さない薬量を実験動物に1〜4週間連続投与して中毒を起こすかどうかを調べる。さらに少量を3〜6ヶ月連続的に与えて調べた結果を亜慢性毒性(subchronic toxicity)という。
  • 慢性毒性(chronic toxicity)
    微量の薬物が長期にわたって動物体内に入った結果、中毒(内臓の変異、奇形などを含む)を起こす性質をいう。蓄積性のある農薬ではこの危険がある。実験動物に1〜2年間薬物を含む飼料を与え、その結果を飼料中の薬物含有量(ppm)で表す。
  • 経口毒性
    薬物が口を通って体内に入り毒性を示す場合で、誤飲または散布中に入る場合などがある。
  • 経皮毒性
    皮膚から薬物が吸収されて毒性を示す場合を言う。農薬の場合、散布などの際、露出した皮膚に薬剤が付着し、中毒する危険がある。
  • 吸入毒性
    農薬を散布、噴霧、くん蒸する時に、ガス、ミストまたは粉体などを呼吸と共に気管支を通じて肺に吸収して中毒を起こす危険がある。
  • 残留
    植物あるいは動物の体内、体表面及び土壌、水系、大気中に残存する農薬、農薬の添加物及びこれらが変化してできた物質(代謝物)をいう。
  • 残留農薬基準
    食品衛生法に基づき厚生労働省が定めた農産物に残留する農薬の許容限度濃度。単位には、100万分の1を示すppmが用いられ、1kgの農産物に1mgの農薬が残留していると、濃度は1ppmとなる。
    現在、229の農薬について、約120の農産物の種類ごとに計約9000の基準が設定されており、基準値を上回る農薬が検出された農産物は国産品、輸入品を問わず販売や流通が禁止される。
    最近では、中国産冷凍ホウレンソウで殺虫剤クロルピリホス(基準値0.01ppm)などの基準違反事例が相次いでいる。一方、残留基準がない農産物については、直ちに違法とされずに健康被害の恐れがあると判断される場合のみ、販売・流通が禁止される。
  • ADI(acceptable daily intake for man 1日当り摂取許容量)
    人間の一生涯にわたって農薬が人間の体内に取り入れられたとしても、現在の化学的知見からなんらの障害が認められない薬量をいい、人間の体重1kg当り1日のmg数で表す。実験動物で得られた数値に安全計数として100〜2000倍をかけて得られる。
    残留基準を定める場合の医学的根拠で、FAO、WHOの専門家による合同会議で国際的に決められている数値である。
  • Food factor(食品係数)
    食事要因とも訳されている。農薬が残留する可能性のある食品が全食事中に占める割合をいう。
  • 許容限界(pennissible level)
    生鮮食品中に残留が許される農薬の最大限界濃度(ppm)をいう。
    (ADIx標準体重)÷(全食事量x食品係数)として表される。
  • LD(lethal dose):致死薬量
  • LD50(median lethal dose)
    半数(50%)致死薬量。動物に薬物を与えた場合、その半数が死亡する薬量をいい、動物の体重1kg当りの薬量に換算してmg/kgで表す。
  • LC(lethal concentration)
    致死濃度。動物に薬物を与えた時、その動物が死亡する薬物の濃度をいい、通常%またはppmで表す。
  • TLm(median tolerance limit)
    中央耐薬限界。主として水棲動物に対する農薬毒性の表現として用いられ、実験動物の半数が生き残る水中の薬物濃度をいう。通常48時間後の数値で示し、TLm48のように表す。
記号
mg ミリグラム 1/1000g
µg マイクログラム 1/1000000g
ng ナノグラム 1/10億g
pg ピコグラム 1/1兆g
東京ドームに相当する体積の入れ物を水でいっぱいにした場合の重さが約1兆グラムです。このため、東京ドームに相当する入れ物に水を満たして角砂糖1個(1g)を溶かし、その水1ccに含まれる砂糖が1pg(ピコグラム)になります。
ml ミリリットル 1/1000g 水の場合1ml=1g
µl マイクロリットル 1/1000000l 水の場合1µl=1mg
ppm ピーピーエム
(parts per million)
100万分の1の濃度を示す単位 1ppm=1mg/kg=1µg/gに相当する。µl/gも同じ。
ppb ピーピービー
(parts per billion)
10億分の1の濃度を示す単位 1ppb=1/1000ppm=1ng/g
ppt ピーピーティー
(parts per trillion)
1兆分の1の濃度を示す単位 1ppt=1/1000ppb