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食料自給率、10年後には45%・・・

日本の食料危機

2000/3/10
将来の食料自給率の目標値などを議論する食料・農業・農村政策審議会(首相の諮問機関)企画部会は、食料自給率目標を2010年度にカロリーベースで45%、将来的に50%を目指した農水省の目標値原案を基本的に了承した。生産現場では、自給率向上の数値を国が示したことを評価する一方で、達成には相当の困難が必要とする意見が交錯する。実現には、農業者一人ひとりが前向きに立ち向かうことや、その支えとなる国の実行策を求める声が相次ぐ。
食料自給率の現状
品目別自給率(%)

平成9年度
99
小麦 9
大・裸麦 7
甘しょ 99
ばれいしょ 83
だいず 3
野菜 86
果実(計) 53
みかん 112
りんご 66
その他果実 35
牛乳及び乳製品 71
肉類(計) 56
牛肉 36
豚肉 62
鶏肉 68
鶏卵 96
砂糖 29
89
魚介類 60
海藻類 66
きのこ類 76
花卉(切花類) 90
穀物自給率など(%)

平成9年度
主食用穀物自給率 62
穀物(主食用+飼育用等)自給率 28
穀物自給率 25
食料自給率など(総合)%

平成9年度
供給熱量自給率 41
険しい実現への道
今回の目標値を設定するに当り農水省は、これまでの傾向が続くと、10年後には年間一人当りの消費量が62キロにまで落ち込む見込みの米消費が、食生活の見直しで66キロまで回復する保証はない。
また生産面では小麦の生産量を現状の1.7倍に、だいず を3倍にしてようやくカロリーベースの総合自給率が2ポイント上がるとの試算がある。しかし今回の目標では農地面積の制約などから小麦で1.4倍、だいず で1.6倍にとどまった。さらに増産ができても輸入品と対抗できる競争力がついていないと売れ残ってしまう。増産による自給率向上にも課題は山積みしている。 小麦や大豆の増産とともに、減少傾向が続いているコメ消費の回復など国民に食生活の見直しを求めているが、45%の達成でさえ相当な困難が予想される。5割以上の長期的な目標も併記したのは、総選挙を控えて生産者の意欲を高めるような目標を示すべきだとの国会議員らの強い主張に配慮したためだ。 自給率の目標を設定することについては、国民参加型の農業生産、食料消費の両面にわたる取り組みの指針として重要と意義付けた。「望ましい食料消費の姿」として、タンパク質、炭水化物、脂質の三大栄養素の中で、現在取りすぎとされる脂質の割合を29%から27%程度に低下させる方向を示した。これに伴い、炭水化物が主成分の米の消費が回復し、肉類の消費がわずかながら減少するなどとしている。 その上で小麦や大豆の増産など生産努力目標を消費量で割った品目別自給率(重量ベース)の2010年度の目標を計算。1998年度と比べ、こめは1ポイント増の98%、小麦は3ポイント増えて12%、大豆は2ポイント高い5%と設定。このほか、肉類は6ポイント増の61%、魚介類は11ポイントアップの77%等とした。コメ、小麦などの穀物自給率目標は3ポイント高い30%となった。 金額ベースの総合自給率もカロリーの低い野菜の生産などを反映させるため採用。目標は98年度より4ポイント高い74%とした。
基本計画の品目別「努力目標」−地域特性踏まえ促進
生産努力目標は、需要に合った生産や一層の低コスト化など、関係者が取り組むべき課題を解決した場合に到達可能な水準を示している。
大豆の生産量を25万dに引き上げるための課題では、
  1. 三割程度の生産コスト低減
  2. ニーズの的確な把握
  3. 地域条件に応じた基本技術の励行
  4. 優良品種の導入
  5. 担い手等の規模拡大
などを挙げている。 同省は、都道府県などでも地域の条件・特性を踏まえた独自の生産努力目標策定を促進する。全国ベースの生産努力目標を、どれだけ身近なものとして受け止めるか、が課題となる。目標達成には、国の施策の充実とともに、地域の取り組みが重要になってくる。
品目別生産努力目標
(単位:万d、%)

生産量(かっこ内は重量ベースの品目別自給率)
1998年度 2010年度目標 参考値
946(95) 969(96) 1024(96)
うち主食用 897(100) 906(100) 961(100)
小麦 57(9) 80(12) 100(15)
大・裸麦 14(5) 35(14) 35(14)
カンショ 114(100) 116(97) 116(100)
ばれいしょ 306(80) 350(84) 350(89)
だいず 16(3) 25(5) 30(6)
野菜 1364(84) 1498(87) 1570(91)
果実(計) 394(49) 431(51) 431(51)
ミカン 119(98) 125(101) 125(101)
リンゴ 88(66) 94(65) 94(65)
その他果実 186(34) 212(37) 212(37)
牛乳・乳製品 855(71) 993(75) 993(75)
肉類(計) 304(55) 324(61) 328(63)
牛肉 53(35) 63(38) 67(40)
豚肉 129(61) 135(73) 135(73)
鶏肉 121(67) 125(73) 125(73)
鶏卵 253(96) 247(98) 247(98)
砂糖 83(32) 88(34) 89(35)
テンサイ 416 375 375
精糖換算 66 66 66
サトウキビ 167 168 172
精糖換算 18 22 22
油脂
8.3(93) 9.3(96) 9.3(96)
飼料作物 TDN 390(−) 534(−) 605(−)
万f 97 115 120
参考 魚介類 604(食用:57) 699(食用:66) 699(食用:66)
海藻類 13(63) 14(72) 14(72)
きのこ類 38(76) 41(79) 41(79)
1. 「参考値」は、カロリーベースの自給率目標を50%程度に設定
した場合の生産努力目標の試算値。
2. 米のうち「主食用」の2010年度の数値は、ミニマムアクセス米
を主食用に振り向ける場合に、それに見合う国産米を主食用
以外に振り向け、国産米の生産に影響を与えないことが前提。
3. 1998年度の米の生産量は、国産米在庫取り崩し量を含む。
4. 「飼料作物」の「TDN」は可消化養分総量。
グリーンジャパン