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300万dに迫る野菜輸入、安全性は?

輸入急増の背景




野菜輸入量は昨年1年間で、過去最高の286万dになった。
輸入が最も多かったのは中国で、前年比16.5%の増の148万9千dに達した。これは全体の52%にあたり、中国が輸入野菜の「基地化」してきたと言える。
野菜の輸入が増え始めたのは、バブル崩壊後の1993年以降だ。それまでは、日本にはない希少野菜や端境期輸入が中心だったが、93年以降は「ねぎ」や「キャベツ」「トマト」「ピーマン」など日常的に使われる野菜の輸入が主力となってきた。
なぜ、300万dに迫る野菜が恒常的に輸入されるようになったのか。理由は二つある。
一つは、バブル後に起こった価格競争。消費不況に見舞われたスーパーマーケットでは、需要を引き出すため、「安さ」を一つの売りにした。それが中国などへの開発輸入につながった。
もう一つは、国内産地の生産基盤のぜい弱化だ。特に、基幹的農業従事者は、過去3回の農業センサスを見ると年1〜2%も減っている。スーパーなど小売店は90年代初めから、将来への不安を感じとっていた。
加えて、85年の先進5カ国蔵相会談(G5)によるプラザ合意を引き金にした円高、89年の天安門事件後の中国の改革開放政策などが、輸入をさらに加速させたと言える。
野菜輸入は、今後どう展開していくか。中国の農産物の作付け面積は現在、1億5千5百万f。過去十年間で見ると年々1%前後の増加だ。しかし、このうちの野菜の作付け面積は、93年以降年7〜14%の幅で増え続けている。
特に、園芸作物は労働集約産業の典型。世界貿易機関(WTO)の加盟で増える余剰労働力の吸収先としては、最適である。外貨獲得の貴重な輸出品でもある野菜は、中国にとって改革開放経済推進の一つのかなめでもある。
それだけに、国内生産量の約20%を占めるまでになった輸入野菜を制限するのは、輸入・国産全体の需給管理を国内産地が一体となって実践すべき時代だろう。
2001年の野菜輸入量(生鮮・冷凍・一時貯蔵の主要品目)と96年対比
※比率(%)「-」:96年に対象項目なし
品目 輸入数量(d) 01/96比(%)
たまねぎ 260,896 141
かぼちゃ 140,652 98
ブロッコリー 84,297 114
ごぼう 80,683 -
キャベツ 51,338 1,908
しょうが 49,994 160
にんじん・かぶ 47,140 156
生しいたけ 36,301 149
ねぎ 30,204 -
にんにく 28,915 123
アスパラガス 22,055 99
えんどう 21,758 156
さといも 20,254 79
ピーマン肉厚果 19,665 -
他野菜 10,518 137
トマト 9,466 1,886
きゅうり 7,960 362
リーキ 7,421 -
セロリ 6,882 163
結球レタス 4,592 225
他レタス 4,056 675
ながいも 3,613 132
えだまめ 2,682 81
まつたけ 2,394 89
スイートコーン 2,374 184
だいこん・根菜類 2,028 1,139
とうがらし 1,948 -
なす 1,936 682
エンダイブ 1,698 158
冷凍えだまめ 77,200 133
冷凍ほうれんそう 50,831 188
冷凍スイートコーン 46,807 103
冷凍ミックス(コーン主体でない) 34,463 118
冷凍いんげん 32,056 114
冷凍えんどう 18,400 90
冷凍ブロッコリー 16,784 158
冷凍じゃがいも 7,680 124
一時貯蔵(塩漬け)きゅうり 47,855 80
貯蔵らっきょう 17,207 -
貯蔵れんこん 13,271 -
貯蔵小なす(20グラム以下) 7,289 -
貯蔵なす(20グラム超) 7,059 -
出典:財務省「貿易統計」
禁止農薬を検出−中国産ブロッコリー
厚生労働省は2月13日、1月に輸入された中国産野菜の残留農薬検査で、ブロッコリーから日本で禁止されている猛毒の有機リン系殺虫剤メタミドホスが1.26ppm(基準値1.0ppm)検出されたことを明らかにした。このほか大葉やニラ、ケールなど6品目目9件で、基準値を超す残留農薬が確認された。
ブロッコリーから検出されたメタミドホスは、国際的にも使用の禁止や制限がされている。中国国内では、メタミドホスなどによって中毒などの健康被害が起きている。
ブロッコリー以外では、青汁原料に使われるケールから殺虫剤クロルピリホスが4.3ppm(基準値1.0ppm)と、4倍も残留していた。ニラやパクチョイからもクロルピリホスがそれぞれ0.04ppm(基準値0.01ppm)、2.09ppm(基準値2.0ppm)検出された。また、大葉から殺虫剤フェンバレレートが0.69ppm(基準値0.5ppm)、サイシンから殺虫剤ジクロルボスが0.23ppm(基準値0.1ppm)見つかった。
厚生省は1月を「中国産野菜検査強化月間」として、全ロット検査をしていた。1月4日〜31日までに計2515件(約3万3千d)を調べた。
今回の結果を踏まえ、厚生労働省は大葉、ニラ、パクチョイの3品目について、検査で安全が確認されるまで通関させない「命令検査」に切り替えた。残りの3品目は、引き続き全ロット検査を継続し、安全性確保に努める方針だ。
厚生労働省によると、中国国内で流通している野菜の47%が残留農薬の安全基準値を超えていることが中国政府の調査で昨年12月に判明。
--- 2002年2月14日「日本農業新聞」から抜粋 ---