農薬情報>殺虫剤>ネオニコチノイド系>フラニコチニル系



特長
種類名 ジノテフラン粉剤
有効成分 ジノテフラン・・・0.50%
性状 類白色粉末 45μm以下 浮遊性指数20以下
毒性 普通物
安全性 製品安全データシートアグロ カネショウ(株)へのリンク)
有効年限 5年
包装 3kgx8袋
作用機構分類 IRAC 4A[ジノテフラン]
アルバリンは三井化学(株)が開発したハロゲンを含まないネオニコチノイド系薬剤です。
近年、主要害虫(コナカイガラムシ類・カメムシ類)及び侵入害虫(マメハモグリバエ・トマトハモグリバエ、ミナミキイロアザミウマ、オンシツコナジラミ・シルバーリーフコナジラミ)の問題等、圃場での害虫相の変化が懸念されています。要因として気温等の環境変化に加え、有機リン剤、合成ピレスロイド剤などの連用による弊害とも考えられます。
現在問題とされているこれらの害虫は、薬剤抵抗性を獲得するスピードが速く、なかなか防除に適した薬剤が見当たらないのが現状です。
アルバリンは新規ネオニコチノイド系(フラニコチニル系)害虫防除剤で、果樹・野菜・水稲の現在問題となっている広範な害虫防除に最適な、21世紀を担う薬剤です。
  • 現在問題となっている広範囲の害虫に効果があります。
    半翅目(コナジラミ・カメムシ類)、双翅目(マメハモグリバエ等)、甲虫目(キスジノミハムシ等)、鱗翅目(ハモグリガ・シンクイムシ等)、総翅目(ミナミキイロアザミウマ、チャノキイロアザミウマ等)の害虫に卓効を示します。
  • 他のネオニコチノイド系に類を見ない、ユニークな殺虫特性。
    ユニークな化学構造と作用機構により、きわめてユニークな特性を発揮します。
  • 大切な作物に広く行きわたり、害虫を内側からノックアウト!
    根部及び茎葉部から容易に吸収され、高い浸透移行性を有し、茎葉散布、土壌混和処理、育苗箱処理、湛水散布にて速やかに効果を発揮し、十分な残効を示します。
  • 既存剤の薬剤抵抗性害虫にも高い効果を示します。
  • 魚類・鳥類・天敵などに高い安全性!!
    • 哺乳類に対する安全性は高かく、原体・各製剤とも普通物です。
    • 魚毒性はA類相当(原体・各製剤とも)で、ミジンコ等の水性生物にも安全です。
    • 鳥類に対する安全性は高く、環境中で速やかに分解される自然にやさしい薬剤です。
    • 重要な天敵であるクモ類やカブリダニに対する影響がほとんどありません。
  • ハダニのリサージェンスの心配がありません。
    リサージェンスとは、圃場で農薬(殺虫剤)を施用した後、対象害虫あるいは他種類の害虫が増加すること。
    原因は、主に農薬の影響による天敵生物の減少とされる。

アルバリン粉剤DLの製品ページへ
(製造・販売元 アグロ カネショウ(株)へのリンク)

適用及び使用方法
作物名 適用病害虫名 使用量 使用方法 使用時期 本剤の使用回数 適用場所 ジノテフランを含む農薬の総使用回数
イナゴ類 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
ウンカ類 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
カメムシ類 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
イネドロオイムシ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
ニカメイチュウ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
フタオビコヤガ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
ツマグロヨコバイ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 3回以内 - 4回以内(但し、育苗箱への処理及び側条施用は合計1回以内、本田での散布、空中散布、無人航空機散布は合計3回以内)
水田作物、畑作物(休耕田) カメムシ類 3kg/10a 散布 - 3回以内 ヨシ、オギ、ススキ、セイタカアワダチソウ等の多年生雑草が優占している休耕田 3回以内
だいず カメムシ類 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)
フタスジヒメハムシ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)
ダイズサヤタマバエ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)
えだまめ カメムシ類 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)
フタスジヒメハムシ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)
ダイズサヤタマバエ 3kg/10a 散布 収穫7日前まで 2回以内 - 3回以内(但し、は種時の土壌混和は1回以内、散布、空中散布、無人航空機散布は合計2回以内)

アルバリンのちらし (アグロ カネショウ(株)へのリンク)
アルバリン粉剤DLのちらし
三井化学クロップ&ライフソリューション(株)へのリンク)

作用機作
神経系はいくつものニューロン(神経細胞・軸索)が連なったもので、ここを通る情報は、電気信号として伝わります。ある軸索の末端は、次の神経細胞とシナプスと呼ばれる間隔で隔てられています。

アルバリンは害虫の神経伝達系に作用します。
アルバリンの作用機作
他のネオニコチノイド剤に類をみない、ユニークな性能です。
シナプス前膜から放出された神経伝達物質は、シナプス後膜にあるアセチルコリン受容体と結合します。その後、情報は再び電気信号となって、次の軸索を伝わります。本剤の有効成分であるジノテフランは、昆虫の神経伝達系に作用して麻酔を引き起こすことにより、効果を発揮します。現在のところ、神経シナプス後膜のアセチルコリン受容体に結合し、神経伝達を撹乱すると考えられています。
(島根大学・尾添ら、日本農薬学会25回大会講演要旨集、p115、2000年)
本剤は高い殺虫活性を示すにもかかわらず、現在知られているアセチルコリン受容体上の結合部位への結合活性は、他のネオニコチノイドに比べ極めて低いことが明らかとなりました。
(カリフォルニア大学・Casidaら、Journal of Neurochemistry Vol.75, No.3, 1294-1303, 2000年)
このことから、これまでとは異なる結合部位が存在し、本剤はここにも結合する可能性が示唆されています。ここに示したようなアルバリンのユニークな作用機作と化学構造のおかげで、本剤は他のネオニコチノイドに例を見ない、ユニークな性能を発揮するものと考えられます。
作用特性
  1. 広範囲の害虫に効果がある

    分類 種類 効果
    分類 種類 効果
    果樹野菜害虫 甲虫目 キスジノミハムシ 果樹野菜害虫 総翅目 ミナミキイロアザミウマ
    フタスジヒメハムシ ミカンキイロアザミウマ
    ダニ目 ハダニ類 ネギアザミウマ
    半翅目 アブラムシ類 チャノキイロアザミウマ
    コナジラミ類 水稲害虫 半翅目 トビイロウンカ
    コナカイガラムシ類 セジロウンカ
    ヤノネカイガラムシ ヒメトビウンカ
    ツノロウムシ ツマグロヨコバイ
    チャバネアオカメムシ クモヘリカメムシ
    双翅目 マメハモグリバエ オオトゲシラホシカメムシ
    トマトハモグリバエ ミナミアオカメムシ
    ダイズサヤタマバエ アカヒゲホソミドリカスミカメ
    鱗翅目 コナガ 鱗翅目 ニカメイチュウ
    アオムシ 甲虫目 イネドロオイムシ
    モモシンクイガ イネミズゾウムシ
    ミカンハモグリガ ◎:効果が極めて高い
    ○:実用的効果あり
    X:効果なし
    チャノホソガ
    チャノコカクモンハマキ

  2. 浸透移行性に優れる
    アルバリンは根部及び茎葉部から容易に吸収され、植物体内を移行します。したがって粒剤散布・茎葉散布いずれも速やかに効果を発揮します。

    浸透移行性及び速効性試験
    [三井化学(株) 平成14年]

    • 供試植物:イネ(コシヒカリ)
    • 供試虫:ツマグロヨコバイ
    • 試験方法:
      根部を10ppmの薬液に1時間浸漬後、薬液を含まない水耕液に移し、その直後に放虫した。
    • 調査:
      放中0.5、1.2時間後に死虫率を調査した。
    • まとめ:
      アルバリンは対照薬剤にくらべ、速やかに効果を発揮した。
    @土壌混和処理
    A茎葉散布
    B育苗箱処理
    C粒剤本田処理

  3. 効き目が長い
    高い効果と優れた浸透移行性により、長期間の残効性を示します。

    トビイロウンカに対する残効性試験(イネ)
    [三井化学(株) 平成11年]

    • 品種:コシヒカリ
    • 試験規模:1区100u2反復
    • 移植日:5月13日
    • 処理:移植当日に苗箱処理
    • 調査:
      移植後40、48および55日にトビイロウンカ(雄10頭、雌20頭)を放飼し、同48、55および62日に各区12株について、ふ化幼虫を調査した。
    • まとめ:
      本剤は対照薬剤に優る効果を示し、長い残効が認められた。

  4. 雨に強い
    野菜茎葉散布における処理後3時間以降の降雨は、効果に影響がありません。

    きゅうり/ワタアブラムシ:降雨の影響
    [三井化学(株) 平成13年]

    • 状況:中発生
    • 品種:相模半白
    • 試験規模:1/5,000aポット2連制
    • 処理:茎葉散布
    • 降雨:
      薬剤処理3時間後に人工降雨機で20mmの降雨を行った。
    • 調査:処理6日後に死虫率を調査。
    • まとめ:
      降雨に効果が低下することはなく、高い防除効果が認められた。

  5. カメムシに高い効果
    各種カメムシに対し、高い効果と吸汁阻害効果を示します。

    各種カメムシに対する効果
    [三井化学(株) 平成11年]


    カメムシの吸汁阻害効果
    [三井化学(株) 平成11年]

    • 試験方法:
      供試薬剤をアセトン溶液とし、マイクロシリンジを用いて虫体に局所施用した。処理5日後の死虫率を求め、LD50値を算出した。
    • 試験方法:
      アルバリンのアセトン溶液を、ミナミアオカメムシにマイクロシリンジを用い局所施用し、稲籾に放飼。処理5日後に死虫率と稲籾の吸汁痕数を調査した。
試験成績
  • 天敵に対する影響:天敵への影響が少ない薬剤です。
    • キクヅキコモリグモに対する影響
      • 試験方法:
        供試薬剤をアセトン溶液とし、マイクロシリンジで虫体に局所施用した。
      • 調査:処理1日後に死虫率を調査
      • まとめ:
        本剤のキクヅキコモリグモへの影響は、対照薬剤にくらべて極めて小さいことが明らかとなった。
      [三井化学(株) 平成8年]
    • ケナガカブリダニに対する顆粒水溶剤の影響
      • 供試植物:ナス(千両2号)
      • 供試虫:ケナガカブリダニ(天敵)、カンザワハダニ
      • 試験方法:
        薬剤処理はポット当たり5葉をマーキングし、寄生するケナガカブリダニ、カンザワハダニを計数した。薬液(2000倍)を肩掛け式散布機器で処理。4連制。
      • 調査:
        処理1、4、13および21日後に寄生虫数を調査。
      • まとめ:
        本剤の実用濃度ではケナガカブリダニに影響が見られず、カンザワハダニの密度は抑制された。対照剤ではケナガカブリダニに影響が見られ、カンザワハダニのリサージェンス*が見られた。
      * 天敵を減少させるなどにより、農薬が逆に害虫の発生を助長する現象。
      [三井化学(株) 平成7年]
  • 訪花昆虫への影響
    ミツバチ・マルハナバチに対する影響については、試験結果をもとに安全日数(暫定値)を規定しています。
    ミツバチ
    作物名 製剤 処理方法および薬量 安全日数*
    いちご 粒剤 1g/株 植穴土壌混和 40日
    メロン 粒剤 2g/株 植穴土壌混和 21日以下
    すいか 粒剤 2g/株 生育期株元 30日以下
    きゅうり 粒剤 2g/株 植穴土壌混和 30日以下
    すいか 顆粒水溶剤 2000倍 14日
    マルハナバチ
    作物名 製剤 処理方法および薬量 安全日数*
    トマト 粒剤 2g/株 植穴土壌混和 10日
    トマト 顆粒水溶剤 2000倍 14日
    * ここで設定された安全日数は現時点で得られているデータをもとに決められた暫定値で、今後変更される可能性があります。
  • 水稲での試験成績
使用上の注意事項
効果・薬害などの注意
  • 本剤はできるだけ飛散を少なくするように製剤されており、一般の粉剤に比べ見かけ比重がやや大きく流動性が良いので、散布の際は散粉機の開度を1目盛程度しぼって散布してください。
  • 蚕に対して影響があるので、周辺の桑葉にはかからないようにしてください。
  • ミツバチに対して影響があるので、以下のことに注意してください。
    1. ミツバチの巣箱及びその周辺に飛散する恐れがある場合には使用しないでください。
    2. 養蜂が行われている地区や受粉等を目的としてミツバチ等を放飼している地区で使用する場合は、関係機関(都道府県の畜産部局や病害虫防除所等)への連絡を徹底し、ミツバチ等の危害防止に努めてください。
  • 空袋は圃場などに放置せず、適切に処理してください。
  • 本剤の使用に当っては使用量、使用時期、使用方法を誤らないように注意し、とくに初めて使用する場合は、病害虫防除所等関係機関の指導を受けることが望ましいです。
安全使用・保管上の注意
  • 本剤は眼に対して弱い刺激性があるので眼に入らないよう注意してください。眼に入った場合には直ちに水洗してください。
  • 散布の際は農薬用マスクなどを着用してください。 作業後はうがいをしてください。
  • 保管・・・密封し、直射日光をさけ、食品と区別し、冷涼・乾燥した所。
製造・販売: アグロ カネショウ(株)
三井化学クロップ&ライフソリューション(株)