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作用機構 |
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筋肉細胞の筋小胞体は細胞内のカルシウムイオン濃度を調整することにより筋肉の収縮・弛緩をコントロールしています。サイアジピルは筋小胞体のリアノジン受容体(RyR)に統合して筋小胞体のカルシウムイオンを細胞内に放出させます。その結果、昆虫は筋収縮を起こし速やかに活動を停止し、死亡します。また、昆虫のリアノジン受容体に選択的に作用し、ヒトの受容体に反応しないことがヒトへの安全性が非常に高い理由です。 |
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訪花昆虫・天敵への影響 |
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これまでの委託試験では、訪花昆虫、天敵への影響はほとんど認められません。(但し、10.3%OD製剤での試験) |
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※マメコバチには影響があるので、訪花期間中の使用は避けてください。 |
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供試生物 |
供試薬剤 |
試験方法
(投与方法・投与量・試験条件等) |
試験結果 |
試験実施機関及び報告年 |
セイヨウミツバチ |
製剤(10.3%) |
いちご圃場試験:2000倍希釈液、160L/10a散布、ビニールハウス |
放飼1日前処理にて、ミツバチ群の訪花活動や群の維持に、ほとんど影響が認められなかった。 |
(社)日本植物防疫協会茨城研究所(2009年) |
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取り込み経路 |
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茶/チャノコカクモンハマキに対する経口活性と経皮活性 |
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供試薬剤 |
EC90(ppm) |
経皮/経口 |
経口活性(茶葉浸漬試験) |
経皮活性(虫体浸漬試験) |
エクシレルSE |
1.1 |
90.0 |
81.8 |
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- 供試害虫:チャノコカクモンハマキ
- 系統:静岡県焼津市採取系統
- 試験齢期:2齢幼虫
- 浸漬時間:5秒間
- 展着剤:非イオン系 3000倍
- 連制:1区 7頭 2反復
- 調査:処理6日後
- 考察:チャノコカクモンハマキに対しては経皮活性より経口活性が高い。
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効果発現速度 |
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茶/チャハマキに対する作用速度(経口活性) |
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- 供試害虫:チャハマキ
- 系統:日産化学累代飼育系統
- 試験齢期:3齢幼虫
- 連制:5頭 4反復
- 試験方法:薬液でディッピングした茶葉を風乾。風乾後、12号コルクボーラーでくり貫いた。チャハマキ3齢幼虫を5頭ずつ放虫しておいた3cmシャーレに2枚ずつ入れ、1時間おきに苦悶症状の有無を調査。
- 考察:エクシレルは対照剤よりも速い効果発現を示した。
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耐雨性 |
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茶/チャハマキに対する作用速度(経口活性) |
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- 対象作物:茶(やぶきた)
- 区制:1区 3ポット 2連制
- 処理日:3月3日
- 処理方法:供試薬剤を動力噴霧器(30気圧)で十分量散布し、翌日に人工降雨装置で40mm/hを1時間降雨処理した。
- 調査日:散布1日後、7日後、14日後
- 考察:対照B剤の防除価が降雨によって低下するのに対し、エクシレルは降雨の有無に関わらず高い防除価で推移した。
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葉面浸透性 |
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かんきつ/ミカンハモグリガに対する効果 |
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- 対象作物:かんきつ(南柑20号)
- 発生程度:中発生
- 区制:1区 1樹 5反復
- 処理日:7月15日
- 処理方法:エクシレル5000倍、対照D剤4000倍
- 考察:本剤は、対照薬剤にまさる防除効果が認められ、無散布と比較して高い防除効果が認められ、実用性は高いと考えられる。薬害は認められなかった。
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殺孵化幼虫活性 |
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りんご/モモシンクイガに対する殺孵化幼虫活性 |
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試験方法 |
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試験結果 |
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供試薬剤 |
濃度(ppm) |
生存幼虫 |
死亡幼虫 |
死虫率(%) |
エクシレルSE |
40 |
0 |
18 |
100.0 |
20 |
4 |
31 |
88.6 |
10 |
8 |
39 |
83.0 |
5 |
17 |
15 |
46.9 |
2.5 |
26 |
9 |
25.7 |
対照A剤 |
100 |
25 |
3 |
10.7 |
50 |
28 |
2 |
6.7 |
対照D剤 |
100 |
9 |
13 |
59.1 |
50 |
10 |
29 |
74.4 |
25 |
20 |
12 |
37.5 |
12.5 |
31 |
3 |
8.8 |
無処理 |
- |
33 |
0 |
0.0 |
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成虫への繁殖阻害効果 |
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モモシンクイガ成虫試験 |
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- 所定濃度の薬液をシャーレに散布し風乾(300L/10a相当量)
- 未交尾の♀と♂を別々シャーレ内に放虫
- 24時間後に♀=5頭、♂=5頭を試験ケージ内に放虫(2連制)
- 無処理のりんご幼果を試験ケージ内に設置
- 放虫5日後に産卵数を調査
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りんご幼果への産卵数が対照剤に比べ有意に少なく、モモシンクイガ成虫に対して、対照剤より高い間接的な防除効果を確認した。 |
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累積防除効果 |
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配偶行動阻害とは |
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配偶行動阻害とは害虫の成虫の繁殖行動、すなわち交尾相手の探索行動や交尾行為、産卵行為などを妨げることです。アントラニリックジアミド系の薬剤にはこの阻害効果が認められます。
本剤に被曝した成虫は正常な行動ができなくなり、交尾機会の損失や産卵行動異常に伴い産卵数の減少を促します。また本剤の直接の殺卵効果は高くありませんが、卵に薬剤が付着すると孵化時に幼虫が卵に付着した薬剤を取り込むことにより死亡します(殺孵化幼虫効果)。その結果、次世代幼虫が減少し、短期的な被害防止のみならず長期的に害虫個体群の密度を減少させると考えられます。 |
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