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在来種クロマルハナバチに関するより詳しい情報は東海物産(株)のホームページへ!

クロマルハナバチ(日本在来種)
セイヨウオオマルハナバチが外来生物被害防止法に指定された場合(在来種の完全化は、平成18年1月より、但し、平成17年11月の審議会の結果状況を見て決定する)でも、飛散防止策が講じてあれば(全ての開口部にネットが張ってある)、継続的な利用は可能と思われる。しかし、完全な飛散防止策を講じることが難しいハウスもある(数センチ程度の隙間が出来てしまう事もある)。

在来種マルハナバチは、外来生物被害防止法に指定される可能性は無いが、在来種マルハナバチが大量に野外に飛散することも生態系に好ましいことではない。(在来種が野外に大量に逃げ出すことが問題視される場合には「国内外来種」という言葉が用いられている)

不可抗力で少数の個体が逃げ出した場合、セイヨウ種より在来種の方が生態系に与えるリスクが小さいとは考えられる。しかし、経費やハウス構造などの事情でネットを張る事ができないという理由から、在来種を開放環境下で利用することは好ましいことではない。大量の在来種の長年にわたり野外に放出され続けた場合には、将来的に全てのマルハナバチが規制対象になることにも繋がりかねないので、絶対に避けなければならない。

農林水産省は、平成17年農業生産の技術指導(平成17年4月27日付農林水産省大臣官房技術総括審議官通知)の中で「代替品として在来種マルハナバチが商品化されていることから、在来種への切替について産地の状況を踏まえ検討することも生態系への影響を軽減するとの観点から重要である。なお、在来種を利用する場合であってもセイヨウオオマルハナバチと同様の施設外への拡散を防止するための適切な措置を講ずる必要がある。」という内容の指導を開始している。
      ハニートーンの動画
訪花する在来種(クロマルハナバチ)
2005年5月 訪花試験 愛知県
クロマルハナバチ(日本在来種)利用上のメリット
  1. 鳥、ムシヒキアブなどの天敵による捕食被害を防ぐ
    ハウス内にモズ、セキレイなどの天敵が侵入すると働き蜂が捕食されてその数が激減したり、巣箱から出てこなくなる場合があります。
    また、ハウス外に出た働き蜂も同じように捕食され、巣に戻ってこないことが多くみられます。
  2. 露地栽培作物に訪花した際に起こる被爆を防ぐ
    ハウス外に出たハチが露地栽培の畑などの花に訪花して化学農薬に触れてしまうことがあります。一部の薬剤などは成虫に影響がありませんが、農薬を体に付けたまま巣箱に戻り、幼虫を殺してしまうことがあります。
  3. 野外の花への訪花による対象作物の授粉効率低下を防ぐ
    なす や トマトの花は本来ハチが好む花ではありません。クロマルハナバチはもともと日本の自然風土の中で生活していたハチですので、ハウス外の花を積極的に探し、対象となる作物の授粉を行わなくなることがあります。
  4. 大型鱗翅目害虫の侵入を防ぐ
    ヨトウガやオオタバコガなどの大型害虫の侵入を防ぐことができます。
環境影響
 在来種というくくりは、人間の恣意的な境界線である「国境線」が反映されるものであり、生物の自然分布からなる「生物境界線」が定義されているものではない(五個、2003)。例えば、北海道と本州の間にはブランキストン線という生物境界線が存在する。クロマルハナバチは北海道には分布していない。そのため、クロマルハナバチは北海道では外来種であり、商業的に生産されたクロマルハナバチを北海道に導入すれば、セイヨウオオマルハナバチと同じ生態リスクが生じることになる。
 また、商業的に生産された遺伝的多様度が減少した個体群が野外に漏出した場合、もともとその地に分布するクロマルハナバチの地域固有の遺伝子を撹乱する可能性がある(五個、2002)。これらのことから、法的な規制はなくとも、在来種マルハナバチを利用する場合にも逸出防止のためのネットの展張は必要である(光畑、2005)。
ハニートーン(在来種クロマルハナバチ)を上手に使うために
  • 天窓にも必ずネットを!
    ネットの展張
    • 天窓と側窓にネットを展張していないハウスでは、マルハナバチによる正常な授粉活動等を保証することができません。
    • マルハナバチがハウス外に逃げ出さないように、天窓、側窓、出入り口などには、必ず4ミリ以下のネットを展張してください。
  • 巣箱の設置
    • 巣箱には直射日光が当たらないように、必ず大きめの日除けを設置してください。
    • 高湿度になりやすい場所は避けてください。
    • アリが多いハウスでは、アリ除けをしてください。
    • 巣箱の外形寸法・・・幅305×奥行240×高さ210(mm)
    高温時

    日除け(発泡スチロール等)
    低温時

    保温用に毛布
    アリが多い場合
    支柱にグリスやガムテープ等
  • 初めて飛ばす時
    • 巣箱の到着直後は、ハチが興奮しています。半日以上休ませてから出入り口を開けてください。
    • 花粉の出ている花が少ないと、ハチが花を認識できない場合があります。花粉の状態を必ずチェックしてください。
    • 作物 使用面積の目安
      大玉トマト 〜2000m²
      ミニトマト 〜1,500m²
      なす 〜700m²
      いちご 1,000〜2,000m²
      ほおずき 〜2,000m²
      出入り口は、夜8時〜朝6時までの間に開けてください。
  • 1巣箱当たりの使用面積の目安
    • 適用面積は、花数や花粉量が目安になります。
      花数が多い時期や品種によっては巣箱を増やしてください。
  • UVカットフィルム下での使用
    • ハチが花を学習し、訪花が安定するまでに通常より余分な日数が必要です。5日程度の余裕を持って導入してください。
    • 初めて飛ばす時には、数日間好天が続く日まで待って出入り口を開けてください。
  • 農薬の散布
    • 農薬は、影響日数表でハチへの影響日数を確認して使用してください。
    • 農薬を散布するときには、巣箱をハウス外に出してください。
  • 巣箱の寿命
    • 巣箱の平均寿命は、適正な管理下で約2ヵ月です。
    • 巣箱の寿命は、季節、花数、管理方法などにより1ヶ月〜2.5ヶ月の幅が生じます。
    • 寿命を安定させる為に、定期的に附属の乾燥花粉を与えてください。
  • 花について
    • トマトと なす では、花粉の出ている花だけを選んで訪花します。
    • 温度、日照量、草勢、品種、収穫遅れ(着果過多)、肥料バランス、地温など様々な要因が花の質に影響します。マルハナバチ導入の2週間以上前から、正常な花粉ができるように栽培環境条件を整えてください。
  • その他
    • 使用後の巣箱に残ったハチは、必ず完全殺虫した後、適正に処分してください。
クロマルハナバチのオスについて
  • メスとの職別は容易
  • セイヨウオオマルハナバチに比べ、オスの出現が早い。
    (導入1週間目にオスが確認できることもある)。
  • セイヨウオオマルハナバチのように、オスの出現がコロニーの寿命の目安にはならない。
クロマルハナバチ利用上の注意
  • 天窓を含めネットが展張していないハウスでは、在来種を利用すべきではない。
  • 天窓や側窓にネットのないハウスでは、安定的な利用が難しい。
  • セイヨウ種との併用は避ける(セイヨウ種が在来種の巣を乗っ取る可能性が高い)。
  • 乾燥花粉は定期的に与える。
  • セイヨウオオマルハナバチよりおとなしい傾向にあるが、巣や蜂をむやみに刺激しない。
  • 日除け、出入り口の開放時間帯などの基本事項は必ず厳守する。
輸入元 東海物産株式会社
販売元 出光アグリ(株)
製造元 バイオベスト社(べルギー)