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改正の背景 |
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昨年7月末以降、一部の業者が、登録の無い農薬を輸入販売していた事態が発覚、これまで44都道府県で約270の業者が約3800戸の農家に販売したことが判明された。
この結果、消費者の国産農産物への信頼を著しく損ね、農作物の出荷自粛の事態が発生した。廃棄処分は、果樹(なし、りんご)、野菜(やまといも、いちご苗)など6300トン、17億円相当に及んだ。
このような事態を踏まえ、国産農産物に対する信頼の回復と、安全・安心な農産物づくりを実現するため農薬取締法改正が行われ、平成15年3月10日から施行されるようになった。 |
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改正の内容 |
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- 無登録農薬の製造・輸入の禁止(個人輸入を含む)・・・製造者・輸入者
- 輸入代行業者による広告の制限・・・輸入者
- 無登録農薬の使用規制の創設(販売者は従来から規制あり)・・・使用者
- 農薬の使用基準の設定・・・使用者
- 法律違反の罰則の強化・・・3年以下の懲役・100万円以下の罰金
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関係法令・・・安全な残留量の基準を守るための使用方法の基準 |
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- 「残留農薬基準」・・・厚生労働省
- 「農薬登録保留基準」・・・環境省
- 「農薬適正使用基準」・・・農林水産省
- 食品衛生法改正:
生産段階に於ける安全性確保の為の関係法の整備を行う。
生産資材の使用の厳格化
- 食品安全基本法:
農産物の生産から流通までの各段階に於ける食の安全を確保する法律
※食品安全委員会(200名体制)
- 「消費・安全局の設置」・・・農水省
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農薬取締法改正が農薬使用者にとって変わる点 |
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農家だけでなく、家庭菜園や花壇・芝生の手入れをする方々も含めて関係する内容です。 |
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罰則の対象になる使用基準の内容 |
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T |
食用作物・飼料作物に農薬を使用する場合 |
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@ |
登録適用作物に使用する(適用外使用は禁止)。 |
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登録のない作物対策・・・ 「マイナー作物対策」を参考 |
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間作・多作物栽培の場合は、栽培する各作物に登録がある農薬を使用する。 |
A |
*10a当りの使用量を守る |
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ex)粒剤・油剤など・・・3〜5kg/10a・20〜30g/10aなど |
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*希釈倍数を守る |
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ex)乳剤・水和剤など・・・1000倍〜2000倍など |
B |
使用時期を守る |
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ex)収穫前XXX日(前日・7日まで) |
C |
使用総回数 |
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*栽培する作物の播種から収穫までの総回数 |
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*苗を購入する場合は、育苗期間の使用内容を確認する必要がある。 |
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上記@からCが正しく使用されたか?の確認として「防除日誌」を記帳 |
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「栽培履歴」・・・追肥・肥料・防除など総合のもの |
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U |
食用作物に登録のない農薬は、食用作物に使用できない(非食用作物だけに登録がある農薬の食用作物使用は禁止)。 |
V |
倉庫などのくん蒸(規制あり) |
W |
航空機による散布(規制あり) |
X |
ゴルフ場での使用(規制あり) |
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厳守の努力を要請する基準 |
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- 農薬の使用者は、以下の事項を帳簿に記載することに努める
- 使用年月日
- 使用場所
- 農作物名
- 農薬の名称
- 10a当りの使用量又は希釈倍数
- 住宅地近接の場合、薬剤飛散防止
- 被覆を要する薬剤(クロピク剤など)の揮散防止
- 最終有効年月を超えた農薬は使用しないよう努める
- 薬害免責の注意事項の導入
ex)使用者の責任において事前に薬害の有無を十分確認してから使用すること。
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使用禁止農薬・・・産廃業者による適正処理の依頼 |
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- 難分解性の有機塩素系の剤・・・BHC・DDT・ドリン剤など10剤
- 毒性に問題のある剤・・・パラチオン・水銀剤・ヒ酸鉛・PCP・PCNB・ダイホルタン・プリクトラン・CNPなど11剤
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マイナー作物(地域特産的作物)対策 |
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- 作物の「グループ化」による対応
現状、利用部位で類似性の高い作物を「グループ化」にまとめて登録する。
農薬メーカーからの登録変更申請が行われる。
- 作物の分離による対応
「トマト」・・・「トマト」と「ミニトマト」に分離
「ピーマン」・・・「ピーマン」と「ししとう」に分離
「レタス」・・・「結球レタス」と「非結球レタス」に分離
「ねぎ」・・・「ねぎ」と「わけぎ」、「あさつき」に分離
「だいこん」・・・「だいこん」と「はつかだいこん」に分離
- 農薬使用基準の適用作物に「経過措置」を設けて対応する。
県知事が申請して、農水大臣が承認する。
- 農業生産に著しい支障がある場合、農薬使用方法を設定。
- 申請作物が属する区分に「登録保留基準」があるもの。
- 使用者の意向の把握した上で平成15年12月までに申請する。
3月〜4月・・・使用の薬剤
5月以降・・・使用する薬剤
- 使用者は、農薬使用について、記帳を行う。
- 必要に応じて、残留農薬調査を行う(安全性の確認)。
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グループに属する作物は、グループ登録薬剤の使用が可能です。同時に「個別に登録のある作物」もあり、両方使用可能です。野菜類(果樹類)に使用できる薬剤は、野菜類(果樹類)のグループに属する作物
にも使用が可能です。各作物群の詳細については【農薬登録における作物分類】を参考してください。 |
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特定農薬について |
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個々の農家が農薬以外の植物保護技術を創意工夫することに対してまでも罰則をかけるという、過剰規制を避けるために登録を必要としない資材として「特定農薬」という枠を設定した。指定の基準は、「安全な成分か?(添加物を含む)」・「効果はあるか?」になる。農薬登録がなく、特定農薬に指定されていない農薬的使用資材について、業者が「薬効」を謳って販売することは違反です。 |
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