農政情報

ポジティブリスト制度

ポジティブリスト制とは?
基準が設定されていない農薬等が一定量以上含まれる食品の流通を原則禁止する制度。
食品衛生法などの一部を改正する法律」・・・(平成15年法律第55号、平成15年5月30日公布)

  • 一定量以上とは?
    「人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定める量」(以下「一律基準」と略す。)
  • 一律基準が適用される場合
    残留基準が設定されていない食品(農作物を含む)
    ただし、以下において基準値が設定されている場合、暫定基準として利用
    • 国際基準であるコーデックス基準
    • 農薬取締法に基づく登録保留基準
    • 諸外国(米国、カナダ、EU等)において設定されている基準
  • 一律基準の対象とならないもの
    人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとして厚生労働大臣が定める物質
    例)農薬取締法第1条の2第2項に規定する天敵
       同法第2条に規定する特定農薬
ポジティブリスト制度導入検討経緯
  • 平成15年
    • 5月:食品衛生法改正
    • 10月:暫定基準(第1次案)公表
  • 平成16年
    • 8月:暫定基準(第2次案)公表
  • 平成17年
    5月末
    暫定基準(最終原案)とりまとめ、WTO通報、パブリックコメント募集
    8、9月
    食品安全委員会調査審議、薬事・ 食品衛生審議会食品衛生審議会食品衛生分科会審議・答申
    11月:暫定基準等の厚生労働省告示
    参照 @ 暫定基準が決まった715品目リスト」
    A 「品目別の作物別基準値」
    厚生労働省→食品中に残留する農薬等の暫定基準(最終案)12.食品等に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度における暫定基準(最終案:基準値表)
  • 平成18年
    • 5月末 ポジティブリスト制施行
【ポジティブリスト制度の概念図】

食品中に残留する農薬の規制状況
【現行の食品中に残留する農薬の規制状況】

【ポジティブリスト制移行後の食品中に残留する農薬の規制状況】

【ポジティブリスト制移行後の基準値イメージ】
農薬A
基準値(ppm) 参考基準
小麦 0.5 残留農薬基準
みかん 0.1 登録保留基準
一律基準の対象 該当無し
きゅうり 0.2 Codex
キウイフルーツ 0.1 オーストラリア
農薬使用時における注意点
  • 農薬使用基準の遵守(登録内容の確認)
    • 食用作物等への農薬使用の遵守
      (適用作物、使用量又は濃度、使用時期、総使用回数)
      →農薬のラベルの記載事項の確認(詳しくはこちら
      農薬登録情報検索システムで確認(農水ホームページ内)
      農薬の製品ラベルの構成
      1. ラベルの「デザイン部分」には登録番号、種類名、名称、成分、性状、内容量、毒物及び劇物取締法による表示、消防法等による表示がされています。
      2. ラベルの「記載部分」には、適用病害虫雑草の範囲、使用方法、効果・薬害等の注意事項、安全使用上の注意事項など農薬を使用する前に読んで理解しておかないといけないことが記載されています。
  • 農薬散布時のドリフトの注意
    • 近接圃場で栽培されている作物への飛散防止
      →食品安全GAPの取組みを通じた栽培管理gap
      →「農薬の飛散による周辺作物への影響防止対策について」(指導通知)の周知
      →「農薬散布する時には気をつけましょう」(パンプレット)の活用
      →「地上防除ドリフト対策マニュアル」(小冊子)の活用
  • ドリフト低減対策
    • 散布時の風向きと風速
    • 作物に近接した適正散布
    • 圃場の端での散布
    • 散布圧力、風量
    • 近接栽培作物との連携
    • 散布ノズルの交換
    • 遮蔽シート・ネット
    • ドリフトしにくい農薬の利用
【参照】
制度の概要
残留農薬のポジティブリスト制度と農薬のドリフト対策について
ポジティブリスト制度における食品別農薬の残留基準値(exel file:151KB)
ポジティブリスト制度における基準違反事例