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農薬を安全に使うために

事故は不注意からおきます。

農薬中毒事故の原因は使用者の油断によるものが少なくありません。言い換えれば、マスクなど保護具をきちんと装備し、正しく使用すれば散布中の事故の多くを防ぐことができるのです。
原因別農薬中毒事故の割合(平成5年〜9年平均)
農薬による中毒事故数(単位:人数)
年次 死亡事故(内散布中) 中毒事故(内散布中) 合計(内散布中)
昭和32〜35年平均 45 681 726
36〜40年平均 38(20) 322(296) 360(316)
41〜45年平均 39(15) 276(252) 315(267)
46〜50年平均 21(4) 233(216) 254(220)
51〜55年平均 17(6) 158(147) 175(153)
56〜60年平均 12(3) 68(59) 80(62)
61〜平成2年平均 6(3) 54(45) 60(48)
注) 昭和32〜50年は厚生省薬務局監視指導課の調査
昭和51年以降は農林水産省農産園芸局植物防疫課の調査
この統計には自他殺は含まない。
安全装備をきちんとしましょう。
薬剤を吸い込まないために、性能の良い農薬用マスクを。皮膚の露出を防ぐために、帽子、保護メガネ、保護手袋、不浸透性防除衣、ゴム長靴をつけましょう。
これらは、安全装備の基本的なものです。
マスクをつけましょう。
農薬散布に伴う、有害成分の人体への主な吸収経路としては、
@経口(口から入る)、
A経皮(皮膚から吸収)、
B経気道(鼻や口から吸い込まれる)の三つが考えられます。
なかでも経気道や経口の場合は、農薬が直接人体内に吸収されるため、その毒性は強く作用します。例えば、皮膚からの吸収を1とすると、呼吸により吸い込む農薬は30倍もの高率になります。農薬の散布作業はかなりの重労働です。そのため呼吸があらくなり、吸気量は平常の5倍以上にもなります。適切なマスクの使用は欠かせません。
マスクの種類
マスクの正しいつけ方
保護メガネをかけましょう。

保護メガネは、漂流(ドリフト)してきた薬液が顔にかかったとき、眼を守ります。
メガネの選び方
保護メガネは、「くもり止め」処理がされているもの、メガネの上下部分にベンチレーター(換気口)のあるものを選びます。
メガネのかけ方
保護メガネとマスクは重ならないようにかけます。重なるとメガネが早くくもるようになります。
保護メガネのくもり止め
メガネは使用前に、市販のメガネくもり止め液をスプレーしておくと更に効果が増します。ボルドー液などの散布ではメガネが汚れて見えなくなることがあります。こんな時は、食品用ラップフィルム(幅が20cmの小型で充分)をメガネ表面全体にかぶせるように貼り付けておくと、汚れてもサッと取り去ることができます。
防除衣を着用しましょう。

防除衣は、農薬の調製や散布時に飛散する農薬から身体を守ります。
防除衣の条件
防護性(農薬が浸透しない)
作業性(軽くて、活動性がある)
着心地(暑くなく、むれない、べたつかない)
耐久性(1シーズンは洗濯しても使用できるもの)などが重要です。
農薬散布用保護衣選定基準(抜粋)
62.3農林水産省植物防疫課
項目 基準
引張強度 kg/5cm タテ65kg以上ヨコ50kg以上
引張強度 g タテ900g以上ヨコ700kg以上
洗濯収縮 タテ、ヨコ3%以下
耐水性 洗濯10回後 1,700mm以上
撥水性 洗濯10回後 80%以上
透湿度 g/m²/24時間 250g以上
防除衣の着用方法
TPO(時間、場所、場合)即ち、作業形態に合せて、上衣、ズボン、エプロンなどの組合せを考えます。また、頭に手ぬぐいをかぶったり、ハチマキをすれば、ひたいからの汗の流れを防ぐことができ、快適です。
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