- 製造過程
イギリスのBCS社が、スペインで問題になっているニカメイガのモニタリング用に開発したもので、今では世界中でさまざまな害虫に使用されています。
- トラップの色
世界で使用されているファネル型トラップは、屋根は濃緑色、ファネルは黄色、容器は白のものが多く、この組み合わせが一番捕獲効果が良いとされています。しかし、その使用場面によって色が変わっている場合があります。ゴルフ場での使用を考えると目立たなくするために黄色は使用していません。また、日射量の多い国では、捕獲された害虫が日射による温度で死亡するように透明の容器を使用しています。もちろん、これらの色の変更により害虫の捕獲効率は低下します。特に、ハスモンヨトウやニカメイガは黄色に誘引される性質がありますので、色の変更による捕獲効率低下の度合いは大きいと予測できます。
- ニカメイガ以外の害虫の誘引効果
ハスモンヨトウに関しては従来のトラップより誘引効果が高いことを含め、ナシヒメシンクイ、コスカシバ、モモハモグリガ等で好結果が報告されています。(1990年4月日本応用動物昆虫学大会)
- 問題点の改善
発売当初は、雨でフェロモン剤が濡れ、残効性に影響が出ないか、また、捕獲された害虫が容器に溜まった雨水でカウントしにくくなりはしないかと心配されたが、現在このような問題は発生していません。
広く使用されるようになり、風による容器部の脱落が問題になりましたが、容器部とファネル部がロックできるように改善された「東海物産オリジナル」によりこの問題はクリアされました。(このロック装置は「東海物産オリジナル」のため、東海物産発売のファネルトラップにだけ装備されています。)
フェロモン剤を取り付けるところは、バスケットタイプを使用していますので、どんなタイプのフェロモン剤でも使用できます。
オオタバコガは、重要害虫としての位置付けの歴史が浅く、最適なトラップの選別は遅れています。日本でも近年さまざまなトラップによる発生調査が行われるようになりました。しかし、どの形状のトラップが最適かは、まだ結論付けられていません。発生ピークについては、ファネル型とデルタ型のどちらのトラップでも確認が可能という報告はあります(静岡府県防除所)。誘引害虫数に関してはデルタ型の方が優れるという報告もありますが、平成9年、淡路農業技術センターで行われたオオタバコガのトラップ別誘引効果試験では、ファネル型黄色の誘引効果が優れ、次いでファネル型緑、デルタ型は効率があまりよくないという研究報告が発表されています。現段階では、限定するにはまだ事例不足です。
- コスト面
また、コスト面においてデルタ型は定期的(発生の多い時には毎日)に粘着剤を交換する必要があり、オオタバコガやハスモンヨトウなどの大型害虫での使用は、経済性に問題があるという指摘もあります。この理由から広い範囲で多くの調査ポイントを設ける場合には、ファネル型を使用するケースが多くなってきています。ファネル型は粘着型に比べ誘引効果に劣るという結果が出ている場合でも、誘引虫数が多少少なくとも、発生初期と発生最盛期を確認できれば、適期防除の材料には十分に利用できるということが言われています。
- 自作トラップの注意店
ペットボトル等を用い、フェロモントラップを作り設置しているとこともありますが、トラップに入らない害虫や、一旦入り又出てしまう害虫が多いと、かえって害虫をフェロモン剤で呼び寄せるだけになってしまい、被害が増大する危険性があります。フェロモントラップはフェロモン剤を利用して誘引した害虫をできるだけ多く捕獲しなければならないことを忘れてはいけません。
フェロモン剤を利用して誘引されたハスモンヨトウは、トラップに止まり10分ほどは歩き回り匂いの発生源を探すと言われており、ルアートラップFはこの習性も利用できるよう開発されています。
トラップの色も誘引効果には大きく影響し、黄色のトラップが誘引効果に優れることは世界的に知られています。
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