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臭化メチル削減計画とは?

土壌消毒剤や検疫くん蒸剤として重要な農薬である臭化メチルは、平成4年(1992年)に開催された「第4回オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締約国会合においてオゾン層破壊物質に指定され、平成7年(1995年)からその生産量・消費量を基準年(平成3年)の実績値以下にするよう制限するとともに、平成22年(2010年)全廃までの削減スケジュールが決められていたが、1997年(平成9年)に開催された第9回締約国会合でスケジュールが前倒しされ、先進国は平成17年(2005年)1月1日をもって全廃することが決定されました。
オゾン層の破壊につながる物質の製造などを規制する国際的な取り決めにより、臭化メチル削減スケジュールは、年々厳しくなっており、2001年には基準年(1991年)の50%、そして2003年に70%、そして2005年に100%、つまり全廃になります。( 参照:臭化メチル削減スケジュール
特に、2001年は、基準年の半分の量となるため、相当の品不足感が起こる可能性があります。 臭化メチルは、土壌病害虫、雑草に有効で、土壌伝染病のウィルス病にも効果のある極めて汎用性のある消毒剤で、さらに処理が簡便である上、防除コストが安価のため、代替薬剤の利用がなかなか進まない地域もあります。しかし、既に待ったなしの状況になってきました。臭化メチル代替薬剤使用技術の確立・試験・追加登録申請の各種試験が指導機関やメーカーで行われています。より効果の安定する使用方法を含め、有効な臭化メチル代替技術の確立が急がれています。

臭化メチルとは?

臭化メチルは、多くの病害虫に対して殺菌・殺虫効果があり、しかも常温常圧で気体であるという性質を利用して、倉庫や土壌中でガス化させ(くん蒸)、穀物の害虫や園芸作物の病害虫を防除するという形で広く利用されている物質であります。

臭化メチルの特徴

  1. 農作物への薬害が少なく、多種類の病害虫に効果がある。
    1. かび、バクテリア、線虫、害虫、ウィルス、雑草などの広範囲の病害虫に効果がある。
    2. これらの病害虫を同時に防除できるのは、臭化メチルをおいてほかにはない。
  2. 揮発性が高いため、気温の低い冬季にも安定した効果を示す。
  3. 消毒時間が短くて済む。
    1. 輸入手続きに際して検疫くん蒸が行われる場合、処理の迅速化が求められているが、ほかの薬剤では、くん蒸に長時間かかる。
    2. 施設園芸の場合には、ほかの薬剤では、処理に要する期間が長いため、施設の利用率が低下するなどの問題がある。
  4. 爆発性、引火性、刺激性がないので取扱いが容易である。

臭化メチルの用途と生産量

  1. 用途
    1. 土壌用
      ハウスや畑の土に発生して農作物に害を与える病害虫の防除のために、土の裏面をビニールで覆ってくん蒸する。
    2. 検疫用
      農産物の輸出入や移動に伴う病害虫の侵入・蔓延を防止するために、農産物を倉庫に入れるなどしてくん蒸する。
    3. その他
      松を加害するカミキリムシの防除、各種化学品の合成過程で使用する反応剤、文化財の害虫駆除などに使われる。
  2. 出荷量
    土壌くん蒸用として年間約5千dが出荷されており、わが国農業生産上重要な農薬となっている。
    1. 用途別出荷量

      H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11
      土壌用 6269 6594 7241 7782 5742 5559 5470 5336 4391
      検疫用 2848 2646 2712 2703 2448 2198 2030 1679 1876
      その他 219 121 204 426 523 431 408 269 517
      合計 9336 9361 10157 10911 8713 8188 7908 7284 6784

    2. 日本の出荷実績「植物防疫課調べ」(単位:d)

      H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10 H11
      臭化メチル 6269 6594 7241 7782 5742 5559 5470 5366 4391
      クロルピクリン 5725 5732 6624 7433 8332 8533 8907 8802 8891
      D-D 12694 13856 14015 13205 12344 10976 12951 12187 11889
      MITC 1018 979 940 973 942 897 884 811 71
      カーバムNa塩 - - - 28 65 234 202 199 210
      ダゾメット 769 915 1061 1323 1542 1607 1923 2194 2719
      オキサミル 3007 3162 2816 2743 2627 2546 2474 2126 2288
      ホスチアゼート - - 1034 1886 2661 3854 4707 4986 5815
    3. 世界の出荷量「国連環境計画 [UNEP] 調べ」(単位:d)
      年度 1990 1991 1992
      出荷量 66644 71257 71583
  3. 主要な対象作物・病害虫
    メロン、しょうが、花卉類、いちご、きゅうりなどで使用量が多く、主要な作物別病害虫は、
    すいか :つる割病、立枯病、モザイク、センチュウ
    メロン :つる割病、えそ斑点病、センチュウ
    きゅうり :つる割病、疫病、立枯病、センチュウ
    いちご :根腐病、萎ちょう病、萎黄病、センチュウ
    トマト :青枯病、萎ちょう病、TMV、センチュウ
    ピーマン :苗立枯病、青枯病、TMV、センチュウ
    花卉類 :立枯病、疫病、萎ちょう病、センチュウ
    なす :青枯病、苗立枯病、つる割病、センチュウ
    しょうが :根茎腐敗病、センチュウ
    であり、施設栽培、移植栽培用苗床の消毒に使用されている。
    施設栽培においては、年間複数回栽培が前提となっており、土壌消毒に時間がかからず、かつ冬季においても使用可能であること、また、苗床消毒については、本剤のみでウイルスをはじめとする各種病害虫に対応が可能であることなど、その使い勝手の良さが臭化メチル使用の主な理由となっている。
  4. 主な臭化メチル代替農薬
    ネマトリンエース粒剤
    クロルピクリン錠剤
    バスアミド微粒剤
    キルパー
    NCS